勇者として召喚されたはずだけど、勇者として歓迎されませんでした

最後の砦攻略

259.舞い上がる煙からの攻撃

「やったか・・・」

　煙が黙々と上がっていた。重装兵は煙が上がってるせいで見えない。
　彼らは静かに前へと見ていた。

「気を抜くな。あの攻撃で死んだとは思えない」

　その時だった。煙の中から針が飛んできて、重装兵の１人の首元に刺さる。
　それを見た重装兵は散乱しながら煙の中へとハルバードを振り下ろす。爆風が目の前を走っている。
　だが、それでも何も歯応えなどは無かった。その為、確認のために一歩ずつ１人の重装兵が煙に近づいた。
　煙の中から手が伸び、重装兵の１人の顔を掴まれる。そのまま持ち上げられた時、重装兵はもがき、持っていたハルバードを落とした。
　ヘルムは簡単に取れないように止められているため、今の彼は首元が引っかかっている状況だ。

「ンガ・・・ガ・・・」

　必死にヘルムを外そうと、ヘルムに手を当てる。そして外れ落ちた時、彼は地面へと着地する。
　息切れをしながら、立ち上がろうとした時、彼の頭が大きく蹴られ、その場で倒れた。

「な・・・」
「残念だな。あの攻撃では俺にはかすり傷程度だよ」

　２人はハルバードを構えるが、その前に彼らは血を吐いた。
　体へと手を当てると、そこには血が付着していた。

「い・・・いつの間に・・・」

　彼は後ろへといた。そして彼らの対物理魔法が展開してたのも関わらず、貫通していた。
　１人の方は既にその場で倒れ込んだ。

「対物理魔法なんて、対応手段はいくらでもある」

　彼がそう口にした時、最後の重装兵は倒れ込んだ。彼はそれを見た後、先へと行くように進んで行った。


「あっちも派手に暴れてるようね」

　リーネは近くで煙が上がっているのを見た。だが、彼女はそれだけを見た後、前へと進み始める。

「これ以上行かせないぞ！大魔導師！」

　兵士達が彼女を阻むように何人も構える。後ろには重装兵の姿もあった。
　そしてリーネの後ろ側にも兵士達が回り込んでいた。
　その数20人以上はいる。リーネはそれを見たとしても表情１つ変えずに、前へと進み続ける。
　リーネの足へと矢が飛んできたとしても行動は止まらない。

「くそ、余裕した表情を・・・、やれ！」

　すると、一斉に彼女へと襲い掛かる。そんな姿を見ながらリーネは何も表情を変えずに右手を胸まで上げる。すると、そこから薄く汚れた色の透明色の球体を作り出す。
　彼女へあと一歩の所で、突如と彼女の周辺が凹んでいく。すると、その周辺にいた兵士達は空中へと浮く。

「残念ね。今のあなた達では勝てないわ」

　球体を潰した時、兵士達は地面へと急降下し、地面に強く叩きつけられた。
　それを見た兵士達は後退りをしていた。リーネは空中へと浮いた時、空中に氷の球体をいくつも作った。
　それを見た時、兵士達は逃げ出した。
　リーネはそれを周辺へと飛ばし、兵士達に当てていく。兵士達は次々と氷の攻撃を受け、次々と倒れていった。
　重装兵は耐えていたが、鎧がそれに耐えられず、貫通した。そしてその場で倒れた。
　煙を見ながらリーネは周りを見る。煙からは兵士達が次々と倒れていた。
　それを見た後、彼女は地面へと着地し、煙で誰もいない空間へと向かった。