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ドラゴン討伐
32.補給地点にて
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辺り一面、円を描くように爆風の跡が広がっていた。火でまだ燃えているテントや、くろこげになっている死体があっちこっちに見られる。一撃で焼け野原に一瞬で早変わりしたのだ。
レールキャノンの爆風は魔王軍にとって損害は大きかった。
「生き残ってる者達はどうするの?」
「その場で殺すしかない。近くには先程の攻撃部隊がいるんだし」
どっちにしろ、彼らを応急処置しなければ死ぬだけだが、先程の爆発音で近くにいる兵士が駆け付けて来る可能性もある。
それでも、黒く焼けた野原を歩きながら、先程の爆発で使えそうなのがないか探す。
「この焼け野原でも、使える物資は持って行くとしたいが、何かそっちでは見つかったのか?」
既にトルゥが調べてたらしく、何かを掘り起こしていた。近くに行くと、それは大きな棺桶を縮小したような箱だった。
木製で出来ており、先程の爆風で燃えることなく残っていた。1人で運べる程の大きさであり、蓋には南京錠が掛けられていた。
俺は生成した剣で南京錠へと一撃与える。普通出来ているはずの南京錠は真っ二つになり、地面へと落ちた。蓋を開けると、中には丸められた紙が納められていた。
武器を解除し、丸められた紙を手に取り、まだ残っていたテーブルの上へと広げた。それは地図であり、ここ周辺が記された物だった。
「なるほどな・・・。最初からお見通しだったわけか」
騎士団のいたポイントには明らかにマーキングされていた。それ以外にも二ヶ所の所に同じマークが見られた。
この地図ではっきりと魔王軍がここ一帯を把握していた事になる。あとは木々を軽々と移動出来る者を偵察させ、確認した後朝方に奇襲を掛けたと見るべきだろう。
「これって、騎士団を率いていた女性の言う通りなの」
「そうだな。これを見る限りそれしか言えない。それにこれは一度持って帰ったほうがいいだろう」
地図を再度丸め、それを腰の細長いポケットに隠すように収納した。この地図はある意味では戦利品だ。これさえ持って帰れば問題ない。
この場から離れようとした矢先だ。
「・・・ウギャアアァ」
遠くの方から聞き慣れない声が聞こえ来たのだ。その方角は奥の方向へと続いており、その周りでは森がざわめいていた。
「竜が一体もいないわけ無いよな。ここから離れた位置に配置させていると考えるのが自然だよな」
声のした方向へと視線を向ける。今は鳴き声は聞こえてこないが、それでも鳥達が騒いでいた。
こっちの存在に気付いているはずだが、こちらへと来る気配は未だになく、俺らを誘う為の罠の可能性が高かった。
「このまま向かうの?」
「罠だろうが、竜はいる。やれるうちに殺っておいて問題はない」
声の下へと足を動かし、その場を後にした。
レールキャノンの爆風は魔王軍にとって損害は大きかった。
「生き残ってる者達はどうするの?」
「その場で殺すしかない。近くには先程の攻撃部隊がいるんだし」
どっちにしろ、彼らを応急処置しなければ死ぬだけだが、先程の爆発音で近くにいる兵士が駆け付けて来る可能性もある。
それでも、黒く焼けた野原を歩きながら、先程の爆発で使えそうなのがないか探す。
「この焼け野原でも、使える物資は持って行くとしたいが、何かそっちでは見つかったのか?」
既にトルゥが調べてたらしく、何かを掘り起こしていた。近くに行くと、それは大きな棺桶を縮小したような箱だった。
木製で出来ており、先程の爆風で燃えることなく残っていた。1人で運べる程の大きさであり、蓋には南京錠が掛けられていた。
俺は生成した剣で南京錠へと一撃与える。普通出来ているはずの南京錠は真っ二つになり、地面へと落ちた。蓋を開けると、中には丸められた紙が納められていた。
武器を解除し、丸められた紙を手に取り、まだ残っていたテーブルの上へと広げた。それは地図であり、ここ周辺が記された物だった。
「なるほどな・・・。最初からお見通しだったわけか」
騎士団のいたポイントには明らかにマーキングされていた。それ以外にも二ヶ所の所に同じマークが見られた。
この地図ではっきりと魔王軍がここ一帯を把握していた事になる。あとは木々を軽々と移動出来る者を偵察させ、確認した後朝方に奇襲を掛けたと見るべきだろう。
「これって、騎士団を率いていた女性の言う通りなの」
「そうだな。これを見る限りそれしか言えない。それにこれは一度持って帰ったほうがいいだろう」
地図を再度丸め、それを腰の細長いポケットに隠すように収納した。この地図はある意味では戦利品だ。これさえ持って帰れば問題ない。
この場から離れようとした矢先だ。
「・・・ウギャアアァ」
遠くの方から聞き慣れない声が聞こえ来たのだ。その方角は奥の方向へと続いており、その周りでは森がざわめいていた。
「竜が一体もいないわけ無いよな。ここから離れた位置に配置させていると考えるのが自然だよな」
声のした方向へと視線を向ける。今は鳴き声は聞こえてこないが、それでも鳥達が騒いでいた。
こっちの存在に気付いているはずだが、こちらへと来る気配は未だになく、俺らを誘う為の罠の可能性が高かった。
「このまま向かうの?」
「罠だろうが、竜はいる。やれるうちに殺っておいて問題はない」
声の下へと足を動かし、その場を後にした。
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