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12話 調子が狂って 【前】
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<シャルトー視点>
面白くない。
非常に、面白くない。
少し小さめのグラスに入った、乳白色のブラン高酒と言う名の酒。
店に入るなり、瓶で頼んだそれを舐めるようにゆっくりと味わう目の前の男……ギィドを、俺は半眼で見据えながら、どうしてこんなことになっているのだろうと思う。俺が睨んでいるというのに、ずいぶんと余裕たっぷりといった様子で――いや、実際のところ、そうなのだろう。
だから余計に、それが癪に触って仕方がない。
何故、俺とギィドが、酒場のテーブルで膝を付き合わせて酒を呑むはめになっているのか。そもそもなんで俺はこのおっさんの誘いに乗ってしまったのだろうか。
下準備も、計画も、全ては完璧な筈だった。
五日前の不可解な記憶の穴と、混濁した思考の原因。そして、身に覚えのない打撲の理由も。本気を出して調べれば、おそらく事の成り行きはこうだろうという、一本の筋書きを固めることができた。
ジャグと引っ掛けた女へ、一旦落とし前をつけに行くことも考えたが、しかしそんな事に時間を割くぐらいなら、ギイドという獲物をとらえるほうが遙かに面白そうだと、そう判断を下して。
まずは先日の出来頃を誤魔化すかと、色々と考え、閉業時間を狙ってギルドへ押しかけた。
それなのに、だ。
「……あと、そうだな、パテ豆と、ライエの串焼きも一つ。おい、お前も食いたいもんは自分で頼め」
先付に出された和え物を摘み終えたギィドが、いつの間にか店員を捕まえ、慣れた様子で注文を済ませると、メニューをこちらに押しやってくる。
油のしみが浮いた、手書きのメニューに反射的に目を走らせ。
「バルダのソーセージ盛り、あと、ラディ酒をグラスで」
適当に目についたものを頼めば、ギィドが、「ほぉ」と、なぜか俺の注文に小さくつぶやきをもらした。
「一体ナニ? 俺の注文になんか文句あんの?」
苛立ちが、収まらない。
それを隠さずにぶつけると。
「ラディ酒とはずいぶんと好みが渋いな。癖が強いだろう。酒は強いのか」
てっきり、「飲みたきゃ飲め」と、テーブルの上に置かれた――中身が満たされたまま、手が付けられていないグラスに対しての文句でも言われると思ったのだが。
その存在のことなど、気がついていないとでも言うように、自然な態度で話題を振ってくる。
それにまた、俺の中でしこりのような、奇妙な感覚が膨れ上がった。
違うのだ。着地点は合っている。でもこれは違う。シナリオ通りじゃない。
今日、ギルドを訪れた目的は、5日前の出来事を適当に上書きするためだった。
言うなれば軌道修正。おかしな警戒心や距離を持たれないために。あんな出来事など、何の思惑もない事故で、今までと何かが変わる事は無い、過剰反応なんてする方がおかしいくらいの些細な出来事、そういう刷り込みをしにいったのだ。
はじめは、考えていた段取り通り、上手くいっていた。
わざと自分から話題に触れて。そして温度差を見せつけて、煽る。
ギィドが切れれば、あとは此方のもの……の、はずだった。
怒りをひと通り発散させてしまえば、物事というものは片付けやすい。そう見通しての、挑発だったのに。
『……アンタ、どうしたの』
そう呟いてしまったのは、ほぼ無意識だった。
言った瞬間、しまった、と思う。
だが、いつもなら拳が飛んでくるであろう会話なのに。浮かび上がった、と思った怒りが、少し長めのまばたきの間にギィドの顔から消え失せて。
いつもと違う反応に、この前の出来事が与える影響について、自分は測り間違えたのか。これは警戒されて、距離を置かれようとしているのかと。一瞬、訳の分からない焦燥感を覚えた。
しかし、こめかみを揉みつつ、溜息をついたギィドの態度は、拒絶とは全く逆のものだった。
それを一言で表すなら。
「……てめぇには、まともな会話をする口はついてねぇのか」
「アンタこそ、今日は喋り過ぎじゃないの」
黙りこくったままの俺に、ギィドはちびり、と酒を舐めて、呆れたような声をだす。
負けずに言い返せば、溜息をつかれた。
――だから、なんで。
溜息に、にじんだ色が気に食わない。
普段のように、苛立った声音だったらいいのだ。
しかし空気は、わずかばかりの不機嫌さはあるものの、ちっとも剣呑さを帯びない。
先程からそうだ。
何故、この男は。
「はぁ、ったく、仕方ねぇなぁ……まあ、話したくなったら適当に話せ。俺は飲む」
タイミングよく、先ほど注文したつまみと酒が運ばれてきて。
ギィドは軽く炒られたパテ豆を摘まんで口に放り込みながらそう曰うと、あとは宣言通り、黙って酒を傾け始めた。
騒がしい酒場の中で、奇妙に静かなテーブルはおそらくここだけだろう。
こんな状況に、一体全体、どうしてこんな所に俺はいるのだろうかと思う。
そして何故、このオッサンが……ギィドが急に、こちらを「許容」するような態度なのか、そう考えて。
「……冗談じゃない」
「ああ?」
「さっきから、その薄ら寒い態度は何なわけ? 一体、ナニ企んでんのさ」
自分の思考に薄ら寒いものを覚えて、とっさに口から言葉を吐く。対して考えもせず口にした問いは、先ほど考えていた馬鹿みたいな評価よりよっぽど現実じみていた。
……いや、そもそも、コッチのほうが、妥当な話ではないか。
明らかな態度の急変の裏に、何かがあると踏むほうがよっぽど自然だ。冷静なつもりで、自分は思った以上にペースを乱されていたらしい。
抜かった、と思いつつ。しかしこれ以上はこのオッサンの手に乗るものかと睨めば。
「あぁ、まあ……そう、なるのか」
ギィドはちょっと驚いた様な顔で、そしてすぐ顔をしかめると、めんどくせえな、とぼやいて頭を掻いた。
まるで俺の言葉が的外れも甚だしいといった態度。またカチンと来る。そして同時に、これは本当に演技か?といった疑念が湧く。
このオッサンは、あまり駆け引きが得意じゃない。本人もそれを自覚しているから、そんな場面になれば開き直るか、だんまりを決め込むかのほぼ二択だ。
だから。
「何も企んじゃいねぇよ、ただ、少し色々目をつぶっただけだから、気にすんな」
溜息を付いて、そう言葉を紡いだとなると、開き直ったと取るべきなのだろう。
しかし、その物言いが気に食わない。
「ずいぶんと上から目線だね、一体何に対して目をつぶるって? 」
「……あ゛ー? そうだな、お前のその態度とか。………………あとは、俺の、ちんけなプライドとかだよ」
不機嫌な俺の声に反応するように、ギィドはちらりと、苛立った声を出す。かと思えば、そのあとすぐにクシャリと顔を歪めて、まるで自嘲するように、言った。
その言葉に、態度に、今までのギィドらしからぬ、答え、反応に。また俺の中に、えも言われぬ感覚が沸き起こる。
「あのさ、その態度、ムカつくからやめてくんない? 今更、大人ぶって、繕ってるつもりなの」
「別に、そういうわけじゃねぇよ。むしろ、今までが大人気なさすぎただけだろうが。そんな警戒しなくでも……ああもう、めんどくせぇ。いい年して、お前と張り合ってた自分に気がついただけだよ」
こう言えば満足か、と、ギィドは唸るように言い、何かを振り払うように一気にグラスを空けた。
トン、っとテーブルに振り下ろされたグラスが音を立てる。
その音に、俺は我に返る。思わず、目を見開いて驚いていた。
バツの悪そうな顔で酒瓶からグラスへ酒を注ぐギィドの、日に焼けた頬が、わずかに赤みを帯びているのは酒が回っているからなのか。
なぜかその顔を見ていられなくて、俺は自分の酒に視線を落とした。
……なんだこれ、開き直り過ぎだろう。
心のなかで、釈然としないものを覚える。
そして同時に、自分が妙に焦っていることに気がついて、たじろぐ。
別に、焦る必要はないはずだ。そう、そんな必要はない。なのに、無性に、これは違う、と思った。
ペースが、乱されている。計画が、崩されて……そうだ、せっかく作ってきた計画が、考えていた方向と違うところへいくものだから、俺は少し、焦ってしまったのだ。そうに、違いない。
本当なら、今日のところはいつものように言い合いをして、試闘をして、そしていつもと同じように髪を触って、それで、今日はおしまい、となるはずだったのだ。
それなのにギィドが急に引いた、かと思ったら、飲みに誘われて。あまつさえ、ごく普通に俺に話を振り、それどころか、自分の態度を改めるようなことを言うのだ。
おかしなことがこう立て続けに起これば、多少の動揺は仕方あるまい。仕方がない、のだが……それだけじゃない、気がする。
「毎回毎回、顔を合わせればくだらないいがみ合いをして、不毛だろ。別に仲良くしようってわけじゃあない。ただ、ちょっとばかり俺が引けば、少しはましな関係になると思ったんだよ。お前は、俺の髪を触りたい、俺は触らせたくない、だから、試闘をする。それだけでいいじゃねぇか」
「…………アンタの目的は、触らせたくないんじゃなくて、試闘じゃないの」
「なに……?」
あまりにも、ギィドが己は物分りの良い人間であるかのような振る舞いをするから。
うっかり言葉が、考えもせずに出た。
ギィドの申し出は当初の計画――油断させて突き落とすための、大事な一歩へのチャンスだというのに、自分は何故口を滑らしてしまったのか。
今日は迂闊なことが多すぎる。しかし口から出た言葉を取り消すにはもう遅い。
ギィドの眉間に、ぐ、っとシワが寄る。
「今のは、どういう意味だ?」
「どういう意味も何も、そのままの意味だけど。 ジャグの代わりだかなんだか知らないけど。俺との試闘、楽しんでるでしょ」
誤魔化す、という選択肢も頭に浮かぶが。
ペースを持っていかれている現状が面白くなくて、此方も知ったのは昨日の事だが、まるで前から知っていたかのような素振りでぶちまけることにした。
すると。
「な、おま………………………………っ!クソッ…………!」
俺の言葉にわずかに目を見開いたギィドが、瞬く間に首まで真っ赤になって。
そんな自分の状態に焦ったように、テーブルに肘をついた片手で顔を覆うと、搾り出すような声で悪態をついた。
「……………」
まさか、一言で、こんな効果を発揮するとは。
思わぬ反応だった。
俺の視線から、顔を隠すギィドに驚く。
その一方で、ある感情が腹の奥底から勢い良くせり上がってくる。
そう、これだ。
これでいい。
自分の言葉に、振り回されるギィド。
これが見たかった。
先程まで、ずいぶんと腹立たしくて仕方がなかったのに、気分が一気に急上昇する。
もしかしたら自覚がないのでは、と思っていたが、どうやらギィド自身、試闘に固執していることに羞恥を覚えていたらしい。しかもそれを、俺に指摘されるなんて、思ってもみなかったのだろう。
「どうしたの。まさか、気づいて無いって思ってた? アンタじゃ俺に勝てないの、分かるでしょ。それでも試闘なんて無駄なもの続けなんてさ。まあまあ楽しめたからこっちも本気で相手してあげてたけど……なに、言い訳でもあるの?」
「お前、黙れっ! さっきまで、ちっとも喋らなかったくせして、急にべらべらべらべらと……その口縫いつけっぞ!」
「話したくなったら話せって言ったの、アンタじゃん。てか、引くんじゃなかったの」
「~~~~~~っこ、の……っ!!!」
俺の言動にギィドがわなわなと震え、グラスを割りそうなほど強く握る。
まるで試闘で、組み敷いた時のような優越感。口の端がどう我慢しようが釣り上がる。
たまらない。楽しい、楽しすぎる。
先ほどのすました様子など木っ端微塵。俺の言葉で目を白黒させる様子に、俺の中がやっと、満たされる。
しかし、そんな浮ついた気分は、次の瞬間、ギィドの口から飛び出した言葉であっという間にかき消された。
「お前だって、構って欲しがりのガキのくせに、ちったぁ自覚しろよ!」
「は?」
「頭触るだけならいちいち絡んでくるこたねぇだろうが。こっちが引くって言ってんだから、普通それでいいだろ。にも関わらず、少しいつもと違う態度だったら妙に気にして、不機嫌になってたろ。それでいて、ちょっと俺が不利になった途端、テンションあげやがって、ガキだろが、ガキ!」
口端が、ひくり、と引きつった。
なに、馬鹿な事、言ってんの。
そう言うつもりで。
しかし不意に、自分はなにをやっているのかと、己で少し奇妙に思ったこれまでの行動が頭に浮かんで。
ほんの僅かばかり、ちょっとは、ギィドに……いや、違う。まったくもって違う。
俺は別に、ギィドにかまって欲しいなんて言うことはないのだ。これは誰にでも対してであり、別に反応が帰ってこなくてもいい。
そう。
そういう物だ。大体――
「言いがかりはやめてくんない? そんな風に思うなら俺を無視すりゃいいじゃん。それに引くんじゃなかったの。なんだかんだ言って、試闘の事といい、俺にかまって欲しいのはアンタの方じゃないの?」
なんだか変に口が乾いて、頼んだまま、テープルに置きっぱなしだったラディ酒を煽る。
少し固めの酒が、喉を焼いて、胃に落ちて行く。
「アホか。俺は別にお前が話しかけてこなけりゃ、話しかけることなんてねぇんだよ。そもそもの切っ掛けは全部お前だろ」
「アンタの髪がえらくいい毛並みしてたからね、切っ掛けは否定しないよ。でもだから、構いたくなきゃ構わなきゃいいじゃん。アンタ受け付けでしょ。他の奴なら適当にあしらってるくせに」
「それはお前がしつこいからだろうが」
「しつこい奴って他にもいるでしょ」
「お前はそれ以上なんだよ」
「だったら……」
アンタが、いやお前が、と。
気がつけば、妙に、おかしな言い合いになってきた。
でもやめることができない。ここで負けてしまっては困る様な、モヤモヤと正体がわからないが、後に引けないものがあった。
だが、大抵の場合。
『酒場』という場所で、こんなやり取りをしていると、だ。
「おぅおぅ~? なに揉めてんだよ、にーちゃんたち!」
「んん?」
「あ゛?」
聞き覚えのない、陽気な声が急に会話に割り込んできたと思うと。
唐突に、どん、っと、中身の詰まった酒瓶がテープルの中央に置かれる。
「酒場での揉め事の時は、これだろ、これぇ~、の・み・く・ら・べ!」
「…………」
部外者のくせに、ウザいんだけど。
割り込んできた男の、馴れ馴れしい態度に青筋が浮かびそうになる。
どこの酒場にも一人や二人はいるのだ、こういう輩が。
他の席の客に絡む、やたらフレンドリーな酔っぱらい。
「こういう時は飲み比べで勝負だろ~~? これ、酒場での常識な、常識! ハイ決定! おい、ねーちゃんねーちゃん! こっちのテーブル、酒じゃんじゃん持ってきて! この二人、今から飲み比べすっから!」
立派な口髭と顎髭を生やし、すっかり出来上がった顔の男は、俺の心情なんて測りもせずに、勝手に声を張り上げる。
いや、誰も、OKなんてしてないし。
酔っ払い同士の諍いから生まれる、殴りあいか飲み比べは、一晩に最低一回は見られる恒例行事だが。
まさかその発端になんてなるつもりは無いと声をあげようとするが、ふと、ワラワラと、男の声に引き寄せられた祭り好きな人間の影に気づいて口をつぐんだ。
だが、不満を覚えたのはもちろん、俺だけではなかったらしく。
「おい、待て。勝手にきめんじゃねぇ。俺は今日、ブラン高酒を飲みに来てだな……」
「えー? なんだよおっちゃん、ノリワリーなー! じゃあ、ねーちゃん、持ってくるの、『ブラァンこしゅ』とか言うやつで!」
「いやだから、べつに飲み比べは……」
本当は、俺も乗り気ではないのだが。
「……なに。アンタ、もしかして酒が好きなくせに弱いの?」
いつの間にか、すっかりテーブルの周りに飲み比べはまだかと人が集まったこの雰囲気で、乗らないという選択肢はもう無い。
ちらりと脳裏に、罵声覚悟で椅子を蹴り飛ばし、帰るという手も浮かぶが、それではこの胸にわだかまった物が後々面倒になると分かって、気持ちを瞬時に切り替える。
飲み比べでは、こういう雰囲気を味方につけるのも大事だから、わざと煽るような言葉を口にした。
「おお、にーちゃんはいいねいいね! 男じゃない!」
ぱちぱちと手を叩く男を睨むギィドも、本当はわかっているのだろうに。
ジャグから聞いたところ、酒は浴びるより味わって飲むのを好むらしいタチなせいか、渋り気味の調子で。
「おっちゃん、おっちゃん! にーちゃんは受けて立つみたいだぜ~~?? ここはいっちょ、年上の威厳ってもんを見せるべきっしょ!」
「は! 年上って言うより、年寄りだから、あんまり無理言わないであげてよ」
「シャルトー、てめぇ……! っち! ああもう、酒もってこい!」
仕方がないからもう一撫ですれば、ギラリと此方を睨む、光。
忌々しげに口の端を下げたその顔に、妙に、胸がすく。
引くなんて、無理なくせに。そうやって素直に俺に噛み付いてくればいいのにと、そう思いながら。
「よしきた! さあ、賭けた賭けた!! この勝負、勝つのはどっちだ!?」
飲み比べを肴に博打が始まる。
威勢のよい掛け声が飛び、テーブルになみなみと酒が注がれたグラスが並び始める。
「今のうちに、ギブアップしなくてもいいの?」
「そりゃ、お前のほうだろ」
「冗談、北部育ちを甘く見ると痛い目見るよ」
「ああ、そりゃなんの迷信だ?」
互いに互いを、鼻で笑う。
睨み合う、視線が絡んで、相手の目の中に、同じ顔をした自分の顔があった。
「はいはーい、じゃあ、賭け忘れた奴はいねなー? はじめっぞぉー!」
やたら間延びした酔っぱらいの声を合図にして。
俺とギィドは、同時にグラスをつかんだ。
面白くない。
非常に、面白くない。
少し小さめのグラスに入った、乳白色のブラン高酒と言う名の酒。
店に入るなり、瓶で頼んだそれを舐めるようにゆっくりと味わう目の前の男……ギィドを、俺は半眼で見据えながら、どうしてこんなことになっているのだろうと思う。俺が睨んでいるというのに、ずいぶんと余裕たっぷりといった様子で――いや、実際のところ、そうなのだろう。
だから余計に、それが癪に触って仕方がない。
何故、俺とギィドが、酒場のテーブルで膝を付き合わせて酒を呑むはめになっているのか。そもそもなんで俺はこのおっさんの誘いに乗ってしまったのだろうか。
下準備も、計画も、全ては完璧な筈だった。
五日前の不可解な記憶の穴と、混濁した思考の原因。そして、身に覚えのない打撲の理由も。本気を出して調べれば、おそらく事の成り行きはこうだろうという、一本の筋書きを固めることができた。
ジャグと引っ掛けた女へ、一旦落とし前をつけに行くことも考えたが、しかしそんな事に時間を割くぐらいなら、ギイドという獲物をとらえるほうが遙かに面白そうだと、そう判断を下して。
まずは先日の出来頃を誤魔化すかと、色々と考え、閉業時間を狙ってギルドへ押しかけた。
それなのに、だ。
「……あと、そうだな、パテ豆と、ライエの串焼きも一つ。おい、お前も食いたいもんは自分で頼め」
先付に出された和え物を摘み終えたギィドが、いつの間にか店員を捕まえ、慣れた様子で注文を済ませると、メニューをこちらに押しやってくる。
油のしみが浮いた、手書きのメニューに反射的に目を走らせ。
「バルダのソーセージ盛り、あと、ラディ酒をグラスで」
適当に目についたものを頼めば、ギィドが、「ほぉ」と、なぜか俺の注文に小さくつぶやきをもらした。
「一体ナニ? 俺の注文になんか文句あんの?」
苛立ちが、収まらない。
それを隠さずにぶつけると。
「ラディ酒とはずいぶんと好みが渋いな。癖が強いだろう。酒は強いのか」
てっきり、「飲みたきゃ飲め」と、テーブルの上に置かれた――中身が満たされたまま、手が付けられていないグラスに対しての文句でも言われると思ったのだが。
その存在のことなど、気がついていないとでも言うように、自然な態度で話題を振ってくる。
それにまた、俺の中でしこりのような、奇妙な感覚が膨れ上がった。
違うのだ。着地点は合っている。でもこれは違う。シナリオ通りじゃない。
今日、ギルドを訪れた目的は、5日前の出来事を適当に上書きするためだった。
言うなれば軌道修正。おかしな警戒心や距離を持たれないために。あんな出来事など、何の思惑もない事故で、今までと何かが変わる事は無い、過剰反応なんてする方がおかしいくらいの些細な出来事、そういう刷り込みをしにいったのだ。
はじめは、考えていた段取り通り、上手くいっていた。
わざと自分から話題に触れて。そして温度差を見せつけて、煽る。
ギィドが切れれば、あとは此方のもの……の、はずだった。
怒りをひと通り発散させてしまえば、物事というものは片付けやすい。そう見通しての、挑発だったのに。
『……アンタ、どうしたの』
そう呟いてしまったのは、ほぼ無意識だった。
言った瞬間、しまった、と思う。
だが、いつもなら拳が飛んでくるであろう会話なのに。浮かび上がった、と思った怒りが、少し長めのまばたきの間にギィドの顔から消え失せて。
いつもと違う反応に、この前の出来事が与える影響について、自分は測り間違えたのか。これは警戒されて、距離を置かれようとしているのかと。一瞬、訳の分からない焦燥感を覚えた。
しかし、こめかみを揉みつつ、溜息をついたギィドの態度は、拒絶とは全く逆のものだった。
それを一言で表すなら。
「……てめぇには、まともな会話をする口はついてねぇのか」
「アンタこそ、今日は喋り過ぎじゃないの」
黙りこくったままの俺に、ギィドはちびり、と酒を舐めて、呆れたような声をだす。
負けずに言い返せば、溜息をつかれた。
――だから、なんで。
溜息に、にじんだ色が気に食わない。
普段のように、苛立った声音だったらいいのだ。
しかし空気は、わずかばかりの不機嫌さはあるものの、ちっとも剣呑さを帯びない。
先程からそうだ。
何故、この男は。
「はぁ、ったく、仕方ねぇなぁ……まあ、話したくなったら適当に話せ。俺は飲む」
タイミングよく、先ほど注文したつまみと酒が運ばれてきて。
ギィドは軽く炒られたパテ豆を摘まんで口に放り込みながらそう曰うと、あとは宣言通り、黙って酒を傾け始めた。
騒がしい酒場の中で、奇妙に静かなテーブルはおそらくここだけだろう。
こんな状況に、一体全体、どうしてこんな所に俺はいるのだろうかと思う。
そして何故、このオッサンが……ギィドが急に、こちらを「許容」するような態度なのか、そう考えて。
「……冗談じゃない」
「ああ?」
「さっきから、その薄ら寒い態度は何なわけ? 一体、ナニ企んでんのさ」
自分の思考に薄ら寒いものを覚えて、とっさに口から言葉を吐く。対して考えもせず口にした問いは、先ほど考えていた馬鹿みたいな評価よりよっぽど現実じみていた。
……いや、そもそも、コッチのほうが、妥当な話ではないか。
明らかな態度の急変の裏に、何かがあると踏むほうがよっぽど自然だ。冷静なつもりで、自分は思った以上にペースを乱されていたらしい。
抜かった、と思いつつ。しかしこれ以上はこのオッサンの手に乗るものかと睨めば。
「あぁ、まあ……そう、なるのか」
ギィドはちょっと驚いた様な顔で、そしてすぐ顔をしかめると、めんどくせえな、とぼやいて頭を掻いた。
まるで俺の言葉が的外れも甚だしいといった態度。またカチンと来る。そして同時に、これは本当に演技か?といった疑念が湧く。
このオッサンは、あまり駆け引きが得意じゃない。本人もそれを自覚しているから、そんな場面になれば開き直るか、だんまりを決め込むかのほぼ二択だ。
だから。
「何も企んじゃいねぇよ、ただ、少し色々目をつぶっただけだから、気にすんな」
溜息を付いて、そう言葉を紡いだとなると、開き直ったと取るべきなのだろう。
しかし、その物言いが気に食わない。
「ずいぶんと上から目線だね、一体何に対して目をつぶるって? 」
「……あ゛ー? そうだな、お前のその態度とか。………………あとは、俺の、ちんけなプライドとかだよ」
不機嫌な俺の声に反応するように、ギィドはちらりと、苛立った声を出す。かと思えば、そのあとすぐにクシャリと顔を歪めて、まるで自嘲するように、言った。
その言葉に、態度に、今までのギィドらしからぬ、答え、反応に。また俺の中に、えも言われぬ感覚が沸き起こる。
「あのさ、その態度、ムカつくからやめてくんない? 今更、大人ぶって、繕ってるつもりなの」
「別に、そういうわけじゃねぇよ。むしろ、今までが大人気なさすぎただけだろうが。そんな警戒しなくでも……ああもう、めんどくせぇ。いい年して、お前と張り合ってた自分に気がついただけだよ」
こう言えば満足か、と、ギィドは唸るように言い、何かを振り払うように一気にグラスを空けた。
トン、っとテーブルに振り下ろされたグラスが音を立てる。
その音に、俺は我に返る。思わず、目を見開いて驚いていた。
バツの悪そうな顔で酒瓶からグラスへ酒を注ぐギィドの、日に焼けた頬が、わずかに赤みを帯びているのは酒が回っているからなのか。
なぜかその顔を見ていられなくて、俺は自分の酒に視線を落とした。
……なんだこれ、開き直り過ぎだろう。
心のなかで、釈然としないものを覚える。
そして同時に、自分が妙に焦っていることに気がついて、たじろぐ。
別に、焦る必要はないはずだ。そう、そんな必要はない。なのに、無性に、これは違う、と思った。
ペースが、乱されている。計画が、崩されて……そうだ、せっかく作ってきた計画が、考えていた方向と違うところへいくものだから、俺は少し、焦ってしまったのだ。そうに、違いない。
本当なら、今日のところはいつものように言い合いをして、試闘をして、そしていつもと同じように髪を触って、それで、今日はおしまい、となるはずだったのだ。
それなのにギィドが急に引いた、かと思ったら、飲みに誘われて。あまつさえ、ごく普通に俺に話を振り、それどころか、自分の態度を改めるようなことを言うのだ。
おかしなことがこう立て続けに起これば、多少の動揺は仕方あるまい。仕方がない、のだが……それだけじゃない、気がする。
「毎回毎回、顔を合わせればくだらないいがみ合いをして、不毛だろ。別に仲良くしようってわけじゃあない。ただ、ちょっとばかり俺が引けば、少しはましな関係になると思ったんだよ。お前は、俺の髪を触りたい、俺は触らせたくない、だから、試闘をする。それだけでいいじゃねぇか」
「…………アンタの目的は、触らせたくないんじゃなくて、試闘じゃないの」
「なに……?」
あまりにも、ギィドが己は物分りの良い人間であるかのような振る舞いをするから。
うっかり言葉が、考えもせずに出た。
ギィドの申し出は当初の計画――油断させて突き落とすための、大事な一歩へのチャンスだというのに、自分は何故口を滑らしてしまったのか。
今日は迂闊なことが多すぎる。しかし口から出た言葉を取り消すにはもう遅い。
ギィドの眉間に、ぐ、っとシワが寄る。
「今のは、どういう意味だ?」
「どういう意味も何も、そのままの意味だけど。 ジャグの代わりだかなんだか知らないけど。俺との試闘、楽しんでるでしょ」
誤魔化す、という選択肢も頭に浮かぶが。
ペースを持っていかれている現状が面白くなくて、此方も知ったのは昨日の事だが、まるで前から知っていたかのような素振りでぶちまけることにした。
すると。
「な、おま………………………………っ!クソッ…………!」
俺の言葉にわずかに目を見開いたギィドが、瞬く間に首まで真っ赤になって。
そんな自分の状態に焦ったように、テーブルに肘をついた片手で顔を覆うと、搾り出すような声で悪態をついた。
「……………」
まさか、一言で、こんな効果を発揮するとは。
思わぬ反応だった。
俺の視線から、顔を隠すギィドに驚く。
その一方で、ある感情が腹の奥底から勢い良くせり上がってくる。
そう、これだ。
これでいい。
自分の言葉に、振り回されるギィド。
これが見たかった。
先程まで、ずいぶんと腹立たしくて仕方がなかったのに、気分が一気に急上昇する。
もしかしたら自覚がないのでは、と思っていたが、どうやらギィド自身、試闘に固執していることに羞恥を覚えていたらしい。しかもそれを、俺に指摘されるなんて、思ってもみなかったのだろう。
「どうしたの。まさか、気づいて無いって思ってた? アンタじゃ俺に勝てないの、分かるでしょ。それでも試闘なんて無駄なもの続けなんてさ。まあまあ楽しめたからこっちも本気で相手してあげてたけど……なに、言い訳でもあるの?」
「お前、黙れっ! さっきまで、ちっとも喋らなかったくせして、急にべらべらべらべらと……その口縫いつけっぞ!」
「話したくなったら話せって言ったの、アンタじゃん。てか、引くんじゃなかったの」
「~~~~~~っこ、の……っ!!!」
俺の言動にギィドがわなわなと震え、グラスを割りそうなほど強く握る。
まるで試闘で、組み敷いた時のような優越感。口の端がどう我慢しようが釣り上がる。
たまらない。楽しい、楽しすぎる。
先ほどのすました様子など木っ端微塵。俺の言葉で目を白黒させる様子に、俺の中がやっと、満たされる。
しかし、そんな浮ついた気分は、次の瞬間、ギィドの口から飛び出した言葉であっという間にかき消された。
「お前だって、構って欲しがりのガキのくせに、ちったぁ自覚しろよ!」
「は?」
「頭触るだけならいちいち絡んでくるこたねぇだろうが。こっちが引くって言ってんだから、普通それでいいだろ。にも関わらず、少しいつもと違う態度だったら妙に気にして、不機嫌になってたろ。それでいて、ちょっと俺が不利になった途端、テンションあげやがって、ガキだろが、ガキ!」
口端が、ひくり、と引きつった。
なに、馬鹿な事、言ってんの。
そう言うつもりで。
しかし不意に、自分はなにをやっているのかと、己で少し奇妙に思ったこれまでの行動が頭に浮かんで。
ほんの僅かばかり、ちょっとは、ギィドに……いや、違う。まったくもって違う。
俺は別に、ギィドにかまって欲しいなんて言うことはないのだ。これは誰にでも対してであり、別に反応が帰ってこなくてもいい。
そう。
そういう物だ。大体――
「言いがかりはやめてくんない? そんな風に思うなら俺を無視すりゃいいじゃん。それに引くんじゃなかったの。なんだかんだ言って、試闘の事といい、俺にかまって欲しいのはアンタの方じゃないの?」
なんだか変に口が乾いて、頼んだまま、テープルに置きっぱなしだったラディ酒を煽る。
少し固めの酒が、喉を焼いて、胃に落ちて行く。
「アホか。俺は別にお前が話しかけてこなけりゃ、話しかけることなんてねぇんだよ。そもそもの切っ掛けは全部お前だろ」
「アンタの髪がえらくいい毛並みしてたからね、切っ掛けは否定しないよ。でもだから、構いたくなきゃ構わなきゃいいじゃん。アンタ受け付けでしょ。他の奴なら適当にあしらってるくせに」
「それはお前がしつこいからだろうが」
「しつこい奴って他にもいるでしょ」
「お前はそれ以上なんだよ」
「だったら……」
アンタが、いやお前が、と。
気がつけば、妙に、おかしな言い合いになってきた。
でもやめることができない。ここで負けてしまっては困る様な、モヤモヤと正体がわからないが、後に引けないものがあった。
だが、大抵の場合。
『酒場』という場所で、こんなやり取りをしていると、だ。
「おぅおぅ~? なに揉めてんだよ、にーちゃんたち!」
「んん?」
「あ゛?」
聞き覚えのない、陽気な声が急に会話に割り込んできたと思うと。
唐突に、どん、っと、中身の詰まった酒瓶がテープルの中央に置かれる。
「酒場での揉め事の時は、これだろ、これぇ~、の・み・く・ら・べ!」
「…………」
部外者のくせに、ウザいんだけど。
割り込んできた男の、馴れ馴れしい態度に青筋が浮かびそうになる。
どこの酒場にも一人や二人はいるのだ、こういう輩が。
他の席の客に絡む、やたらフレンドリーな酔っぱらい。
「こういう時は飲み比べで勝負だろ~~? これ、酒場での常識な、常識! ハイ決定! おい、ねーちゃんねーちゃん! こっちのテーブル、酒じゃんじゃん持ってきて! この二人、今から飲み比べすっから!」
立派な口髭と顎髭を生やし、すっかり出来上がった顔の男は、俺の心情なんて測りもせずに、勝手に声を張り上げる。
いや、誰も、OKなんてしてないし。
酔っ払い同士の諍いから生まれる、殴りあいか飲み比べは、一晩に最低一回は見られる恒例行事だが。
まさかその発端になんてなるつもりは無いと声をあげようとするが、ふと、ワラワラと、男の声に引き寄せられた祭り好きな人間の影に気づいて口をつぐんだ。
だが、不満を覚えたのはもちろん、俺だけではなかったらしく。
「おい、待て。勝手にきめんじゃねぇ。俺は今日、ブラン高酒を飲みに来てだな……」
「えー? なんだよおっちゃん、ノリワリーなー! じゃあ、ねーちゃん、持ってくるの、『ブラァンこしゅ』とか言うやつで!」
「いやだから、べつに飲み比べは……」
本当は、俺も乗り気ではないのだが。
「……なに。アンタ、もしかして酒が好きなくせに弱いの?」
いつの間にか、すっかりテーブルの周りに飲み比べはまだかと人が集まったこの雰囲気で、乗らないという選択肢はもう無い。
ちらりと脳裏に、罵声覚悟で椅子を蹴り飛ばし、帰るという手も浮かぶが、それではこの胸にわだかまった物が後々面倒になると分かって、気持ちを瞬時に切り替える。
飲み比べでは、こういう雰囲気を味方につけるのも大事だから、わざと煽るような言葉を口にした。
「おお、にーちゃんはいいねいいね! 男じゃない!」
ぱちぱちと手を叩く男を睨むギィドも、本当はわかっているのだろうに。
ジャグから聞いたところ、酒は浴びるより味わって飲むのを好むらしいタチなせいか、渋り気味の調子で。
「おっちゃん、おっちゃん! にーちゃんは受けて立つみたいだぜ~~?? ここはいっちょ、年上の威厳ってもんを見せるべきっしょ!」
「は! 年上って言うより、年寄りだから、あんまり無理言わないであげてよ」
「シャルトー、てめぇ……! っち! ああもう、酒もってこい!」
仕方がないからもう一撫ですれば、ギラリと此方を睨む、光。
忌々しげに口の端を下げたその顔に、妙に、胸がすく。
引くなんて、無理なくせに。そうやって素直に俺に噛み付いてくればいいのにと、そう思いながら。
「よしきた! さあ、賭けた賭けた!! この勝負、勝つのはどっちだ!?」
飲み比べを肴に博打が始まる。
威勢のよい掛け声が飛び、テーブルになみなみと酒が注がれたグラスが並び始める。
「今のうちに、ギブアップしなくてもいいの?」
「そりゃ、お前のほうだろ」
「冗談、北部育ちを甘く見ると痛い目見るよ」
「ああ、そりゃなんの迷信だ?」
互いに互いを、鼻で笑う。
睨み合う、視線が絡んで、相手の目の中に、同じ顔をした自分の顔があった。
「はいはーい、じゃあ、賭け忘れた奴はいねなー? はじめっぞぉー!」
やたら間延びした酔っぱらいの声を合図にして。
俺とギィドは、同時にグラスをつかんだ。
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