122 / 388
神獣に育てられたもの
アン王女とサキ2
しおりを挟むシャルルの部屋の前で、しばらく呆然としていた。
考えてみれば、本人からは男だと言われた事は無い。
シャルルは男性に付ける名前だが、女性に付けては駄目だという法は無い、多分。
僕と言う一人称だって、王都では使ってる女性も見たことがある。
俺とか、ワシとか使ってる女性だっていた。
17歳でスリムな身体付きだが、女性だと分かればなぜ男だと思っていたのかと、自分を殴りたくなる。
ちゃんと丸みをおびた優しい身体だったのだ。
ふたつの膨らみはささやかだったが。
いや、膨らみの事は忘れよう。
これ以上突き詰めて考えては不味い事だった。
そう、彼女は女性だった。
可愛いと思っていた弟が、女性、、、妹だった?
妹、、、本当に妹?
俺はうずくまって、頭を抱えるのだった。
もう二度と顔を見せてくれないかと思ったが、夜には部屋から出てきてくれた。
「シャルル!
さっきはごめん。
俺が勝手に男の子だと思い込んでた。
君は一度も性別の話はしなかったのに。」
「別に男でも良い。
その方がお互い都合が良いでしょう。」
「都合が良い?
なんでだ?」
「同性の方が気兼ねしないでしょう。
こんな所に住んでいるんだから、男に思われていた方が安心だし。」
「シャルル、やっぱり俺と一緒に行こう。
女の子ならば、余計に一人では置いておけない。」
「ほうっておいて。
あなたは通りすがりの、ただの他人。
もう、私に係わらないで。」
シャルル、、、。
気まずい雰囲気のまま、そろろ旅に出なければならない時期がやってきた。
祖母殿はまだ帰らない。
このまま本当に、彼女をひとりで置いて行くのだろうか。
俺には彼女を説得する事が出来ない。
とても、無力だった。
考えてみれば、本人からは男だと言われた事は無い。
シャルルは男性に付ける名前だが、女性に付けては駄目だという法は無い、多分。
僕と言う一人称だって、王都では使ってる女性も見たことがある。
俺とか、ワシとか使ってる女性だっていた。
17歳でスリムな身体付きだが、女性だと分かればなぜ男だと思っていたのかと、自分を殴りたくなる。
ちゃんと丸みをおびた優しい身体だったのだ。
ふたつの膨らみはささやかだったが。
いや、膨らみの事は忘れよう。
これ以上突き詰めて考えては不味い事だった。
そう、彼女は女性だった。
可愛いと思っていた弟が、女性、、、妹だった?
妹、、、本当に妹?
俺はうずくまって、頭を抱えるのだった。
もう二度と顔を見せてくれないかと思ったが、夜には部屋から出てきてくれた。
「シャルル!
さっきはごめん。
俺が勝手に男の子だと思い込んでた。
君は一度も性別の話はしなかったのに。」
「別に男でも良い。
その方がお互い都合が良いでしょう。」
「都合が良い?
なんでだ?」
「同性の方が気兼ねしないでしょう。
こんな所に住んでいるんだから、男に思われていた方が安心だし。」
「シャルル、やっぱり俺と一緒に行こう。
女の子ならば、余計に一人では置いておけない。」
「ほうっておいて。
あなたは通りすがりの、ただの他人。
もう、私に係わらないで。」
シャルル、、、。
気まずい雰囲気のまま、そろろ旅に出なければならない時期がやってきた。
祖母殿はまだ帰らない。
このまま本当に、彼女をひとりで置いて行くのだろうか。
俺には彼女を説得する事が出来ない。
とても、無力だった。
0
お気に入りに追加
16
あなたにおすすめの小説

お姫様の願い事
月詠世理
児童書・童話
赤子が生まれた時に母親は亡くなってしまった。赤子は実の父親から嫌われてしまう。そのため、赤子は血の繋がらない女に育てられた。 決められた期限は十年。十歳になった女の子は母親代わりに連れられて城に行くことになった。女の子の実の父親のもとへ——。女の子はさいごに何を願うのだろうか。
王女様は美しくわらいました
トネリコ
児童書・童話
無様であろうと出来る全てはやったと満足を抱き、王女様は美しくわらいました。
それはそれは美しい笑みでした。
「お前程の悪女はおるまいよ」
王子様は最後まで嘲笑う悪女を一刀で断罪しました。
きたいの悪女は処刑されました 解説版

昨日の敵は今日のパパ!
波湖 真
児童書・童話
アンジュは、途方に暮れていた。
画家のママは行方不明で、慣れない街に一人になってしまったのだ。
迷子になって助けてくれたのは騎士団のおじさんだった。
親切なおじさんに面倒を見てもらっているうちに、何故かこの国の公爵様の娘にされてしまった。
私、そんなの困ります!!
アンジュの気持ちを取り残したまま、公爵家に引き取られ、そこで会ったのは超不機嫌で冷たく、意地悪な人だったのだ。
家にも帰れず、公爵様には嫌われて、泣きたいのをグッと我慢する。
そう、画家のママが戻って来るまでは、ここで頑張るしかない!
アンジュは、なんとか公爵家で生きていけるのか?
どうせなら楽しく過ごしたい!
そんな元気でちゃっかりした女の子の物語が始まります。
【完結】宝石★王子(ジュエル・プリンス) ~イケメン水晶と事件解決!?~
みなづきよつば
児童書・童話
キラキラきらめく、美しい宝石たちが……
ニンゲンの姿になって登場!?
しかも、宝石たちはいろんな能力をもってるみたいで……?
宝石好き&異能力好きの方、必見です!!
※※※
本日(2024/08/24)完結しました!
よかったら、あとがきは近況ボードをご覧ください。
***
第2回きずな児童書大賞へのエントリー作品です。
投票よろしくお願いします!
***
<あらすじ>
小学五年生の少女、ヒカリはワケあってひとり暮らし中。
ある日、ヒカリのもっていたペンダントの水晶が、
ニンゲンの姿になっちゃった!
水晶の精霊、クリスと名乗る少年いわく、
宝石王子(ジュエル・プリンス)という宝石たちが目覚め、悪さをしだすらしい。
それをとめるために、ヒカリはクリスと協力することになって……?
***
ご意見・ご感想お待ちしてます!


地球一家がおじゃまします
トナミゲン
児童書・童話
1話10分読み切りで、どれから読んでもOK。各10分の話の中にカルチャーショックと平均2回のどんでん返しを盛り込みました。アニメの脚本として書いたものを、多くの人に読んでいただきたいので、小説形式にしました。アニメ化を目指していますので、応援よろしくお願いします!
あらすじ:地球に住む父、母、長男ジュン、長女ミサ、次男タク、次女リコの一家6人を『地球一家』と呼ぶことにする。6人は、地球とよく似た星を巡るツアーに参加し、ホームステイしながらいろいろな星の生活を見て回る。ホストファミリーと共に過ごし、地球では考えられないような文化や習慣を体験し、驚きの毎日を過ごしながら家族が成長していく。
アルファポリス、小説家になろうで連載中です。
以下の情報提供サイトで、縦書きやふりがな付きの文章を用意します。
https://twitter.com/gentonami1225

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる