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「ーー貴方はおかしいわ」

自分の目の前で大声で叫び、パニックと共に自分の正当性を掲げ、感情のままに振る舞う存在彼女の姿に続々と己の中で血が冷めていく気がした。

ーー自分でもそう思う。

未だにその行為パニックを続ける存在彼女に聞こえないようにぼやく。

ーーでも、これでもかなり抑え込んでいるんだけど。

そう言い放ちたくなる衝動を「普通を演じなければならない」という義務の元抑え込む。

ーー何度も何十年も繰り返してやり慣れているのだから。

やり方はスイッチをオフにして、己を普通の器に仕舞い込む。

それだけ。

時にはみ出て、どうしようもなく自分を追い詰めてしまうことになるけれど。

「なんで、なんでなの!」

存在彼女はまだ叫び続けている。


ーーうるさいなぁ、だまってくれないかな

スイッチをオフにしても、まだ不愉快だ。

というか、日常は、全てがうるさい。

だからーーー

「ーーうるさいなぁ。本当に」

そういって、僕はーーー















「嗚呼、やっと静かになった」


足元で冷たい床に寝転ぶ存在を満足げに見下ろして、僕はゆっくりと眠る。

「おやすみなさい」


fin?

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