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3 王都

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 ハルストモリアさんが提示した要望を此方側から王家に献上する形に示して、褒賞の話になる。

 「それを我が国に献上するにあたって、ネイト殿は何を望む。」

 多くの貴族たちや他国の代理人たちが息をのむ、

 「金、土地、地位は要りません、私を束縛するのはハッキリ言って敵です。」

 ここで釘を刺さなければ、めんどくさい状態に成る。

 「よって、王国の中で最も書庫数が多い王立学園の図書館、それも禁書エリアの閲覧も含んだ権利を頂きたい。」

 王家は、ハイいいですよっとは言いぬくい状況とは解っているが、それでも言わなければならなかった。

 「自身の身を守るためにもそれを得なければならない場合がある、それでも得るつもりは無いのだな。」

 「陛下、私には意味が有りません、空を手にした私はもはや地にある力は無意味なものとなりました。」

 そう、あの時すべてを失い得た力

 「それに私には魔境で力を高め、生き残ることが出来ました。我が身一つ魔境で生き残る・・・我が力はそう言う物です。」

 まさに、王の力?何それ美味しいの状態だ。

 鼻っから交渉なんて出来るはずもない状態だが、あえてそうしているのは、俺の気まぐれだ。

 「あい解った、認めよう。」

 謁見の間全体が騒めき動いた。

 「へ・・・陛下!?」

 軍を総括する、将軍が陛下に声を掛けた。

 「但し!」

 もう一つ大きな声で陛下が声を上げた。

 「但し!」

 再び声を上げ、周りは静まった。

 「一つだけ頼みたい事がある。」

 頼みか、断りにくいな・・・。

 「何でしょうか?」

 「王都学園へ入学してほしい。」

 また、厄介事になりそうな・・・。

 *

 晩餐会のお誘いがあったが、問答無用で断った。

 直ちに帰って、不貞寝をした。

 夕飯は馬車の中で取ったので問題はない。

 翌朝、再び使者が訪れ宰相が呼んでいると言う事だった。

 今すぐでは体が空かないと言って、三日後にしてもらった。

 初めは渋ったが、謁見の間でのストレスが溜まっているんだよ!!とちょっぴり切れたら帰って行ってくれた。

 それから、二日間何も考えずにボケーと過ごし夕方に成ったら安全航路で来た飛行艇が王都に戻っている。

 何でこのタイミングなんだよ!!

 いっその事、逃げるか?

 完璧に姿を消す自信があるぞ!!

 「ネイト様、少しお話が。」

 あーはいはい、こういう時に来るのがハルストモリアさんですよね。

 「なに?」

 少々ぶっきらぼうな対応になったが、俺のせいではないはずだ。

 「王宮では今、精神的に恐慌状態に成っています。」

 はぁ?

 「何でまたそんな状態に成っているの?」

 「気づいてはいないのですか?」

 一体何が?

 「・・・貴方はこの国に対して恫喝をしたんです。それも目に見える形で。」

 「ちょ・・・ちょ・・・っと待って!恫喝!?」

 ため息を付かれた。

 「ええ、そうです。貴方は私との交渉で戦力的に王国と対等であることを示しました。そして、あの謁見で立場地位的に陛下と対等だと言う事を示しました。」

 え・・・そうなの?

 「その上で、陛下の気の迷いで学園の入学を提示しました。その後、貴方は晩餐会の拒否に宰相の即日面会の拒否、普通の人だったら発狂しそうな事態です。」

 ・・・アーそう言われたらそうかも・・・。

 「で、先ほど何やら逃げ出しそうな感じが有りましたので、声を掛けました。もしこのまま姿を消せられたら、王宮は完全に通常常務が止まります。」

 ・・・え?なんでそこで止まるの?

 「貴方は、自分を束縛する物を敵だと言ったのです。王宮ではそれが学園入学を同じと思っている人が多いと言う事です。誰も貴方を敵にしたくはありません。」

 「・・・けど、将軍はやる気満々でしたよ?」

 「それは、否定できませんが、何も理解できない愚か者はいないと言う事です。」

 なるほど・・・。

 「解ったよ、きちんと明日は王宮に行くよ、それと・・・明日、辺境伯たちが到着する。」

 「は?」

 「飛行艇でこっちに向かってきているんだ。解るだろこの後の混乱が・・・。」

 「・・・。聞かなかった事にできませんか?」

 「そして、明日は大混乱か・・・実に楽しみだ・・・。」

 ハルストモリアさんが実に嫌そうな顔をしていた。

 俺も嫌だよ!

 「何であの人は、こんなにもタイミングが悪い時に来るのでしょうか?」

 「そう言う星に生まれているんじゃねぇ?お互いに腹を括ろうじゃん。」

 そう言うと、トボトボとドアから部屋を出ていった。

 遠くの方で驚いた声が上がっていたが、それだけショックだったのであろう・・・。
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