愛脳中毒

じえり

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治験Ⅱ

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次の朝早く目が覚めて身支度をすませて朝食の時間のアナウンスで部屋を出る
食堂には俺と2番しかいなくて朝食も2人しか用意されていない
「みんなどうしたんですか?」
「治験の翌日は起きれない事が多いです」
「そうなんですね」
じゃ2番も治験をやってないのか?
それとも治験やっても食欲あるのか?
さっさと飯を食って薬をデザートのごとく飲み込んで2番はサッサと食堂を出ていく
俺も今日こそは治験を始めないと役立たずだとは思われたくない
手を挙げて薬を所望する
しかし薬を飲んだ途端眩暈
昨日よりも強くぐわんぐわんと目が回ってる だめだ…俺はその場に倒れた

目が覚めると昨日の回復室にいてスタッフが「大丈夫ですか?」と尋ねてくる
「すいません 大丈夫なんで治験始めてください」
俺は半身を起こして頭を振った
「稀にいるんですよね 薬に異常に反応してしまう人が 今まであんまり薬飲んでないんでしょうね」
なんせ健康体だったから風邪薬もあまり飲んだ事がない 薬入らずの体が恨めしい
「この薬で体調悪くなる人は治験に進めないんですよ」
そんな…
「明日薬飲んで体調悪くなるようなら今回は見送りましょう」
そんな…

次の朝が来るのが怖い
その日は一日中ベッドにいていつ来るともわからない朝を待つ
朝食の時間です
食堂に行くと俺しかいなくて俺の分しか朝食は用意されてなかった
「みんなは?」
「治験中なんでね」
何とも曖昧な答え
速攻で飯を食って手を挙げる
薬を飲む
頼むから頼むから
何でもないように立ち上がり部屋に戻る
頭痛はひどい
目を閉じて深呼吸を繰り返し意識を保つ
だめだ
そう思った時には意識が途切れた

目が覚めたら部屋にいた
追い出されるのか?
そう思った時腕に注射の痕があるのを見つけた
何も変わったところはないような気がするそれどころか気分はとても爽快だった
ベッドから立ち上がり部屋を出る
廊下の奥 娯楽室から笑い声が聞こえて吸い寄せられるように歩く
「よぉ8番」
10番がまた13番と卓球をやっている
「調子大丈夫?」
ヨンがヨギボーから這い出て俺のそばにきた
2番と18番とサナはいない
「みんな治験やってるのか?」
「もちろんだよ クルマ君は食べ過ぎて薬があまり効かないらしいよ
愛花さんとサナさんは生理になっちゃって別の意味でしんどそう」
クルマは2番で愛花は18番だな
「みんな名前教え合ったの?」
「俺は10番で通してる」
スマッシュを打ち込みながら10番が笑う
「俺は匠」
「俺 聖」
「コウキ カッコいいね」
今度は匠がスマッシュを打ち込み返して笑う
「腹減った俺戻るわ」
「じゃ俺も」
2人が部屋に帰ると俺とヨンはフリードリンク片手に漫画を物色してヨギボーにのめり込んだ

記憶が飛ぶ
気づけば部屋で寝ている
コンコン 部屋をノックする音
「聖寝てるの?」
サナの声
俺は起き上がりドアを開けようとしたが歩いているのにドアに近づけない
「部屋にお戻り下さい」
アナウンスが流れる
「もう」サナの声 怒ってる?

また記憶が飛ぶ
回復室で点滴をされている
「気づきましたか?ちょっとしんどいと思いますけど頑張ってくださいね」
うなづく
本当に体が鉛のように固く重い
ベッドに沈み込んで埋まって一生起き上がれないような気がする
「コウキ君頑張れ」
ヨンの声かな?
返事はできない

また記憶が飛ぶ
娯楽室10番と卓球している
「何8番中々やるじゃないか」
俺が卓球?そんなキャラじゃない
そう思いながら卓球を楽しんでる
匠が「ダブルスやろう」と言い出してクルマと10番 俺と匠で卓球対決
柄にもなく大声出してる
こんな自分は自分じゃない

そんな感じで何故か治験中は細切れの飛び飛び記憶
薬のせいだと思う
「今日で終わりですお疲れ様でした」
もらった紙とペンで消灯のたんびに丸をつけて何日たったか記録していたがこれが正確な日数なのか自信がない
俺より先に治験が終わったのはクルマと愛花で俺と同じに終わったのはサナ
残ってるのは10番と匠とヨン
バスで連れてこられた日から91丸
3ヶ月が立ってる
120万の報酬
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