6 / 9
第1章
出逢いと運命と……番と I ※R18
しおりを挟む「…んっ……っはぁ…やべ……部屋まで保つ…のか?」
龍哉と目が合い、多分ではあるが向こうも湊音に気付いた状態ではあったが、同僚に会場から出してもらえたのには助かった。しかし、支配人や同僚が湊音の為に、緊急避難用として確保してくれているのは、機密性が高くそしてあまり使用する人物が少ない《インペリアルスイートルーム》……つまりは、最上階にある部屋の一つだ。
しかし今の状態で、エレベーターに乗車するのは憚られた。何せ、薬で抑えられているとはいえ発情臭がどんどんと強く出る様になって来ている。
「これで…行く……しか……」
湊音の視線の先には、非常階段の扉。もちろん、廊下のもっと奥には従業員用のエレベーターもあるのだが、そこに辿り着くまでにどうなるか分からない………。幸か不幸か、パーティ会場の階から部屋までは5階ほど……普段の湊音なら従業員用のエレベーターまで大急ぎで駆け込み、最上階まで上がっただろう。だが、この時の湊音は普段とは違い、脳の奥から溶け出す様なフワフワした思考回路で、真面ではなかった。そのまま、非常階段の扉を開けてふらつきながら最上階を目指し、上がって行った……………。
「はぁっ……はっ…あっ……」
しばらくして、何とか最上階には辿り着いたものの、いつも使っている部屋ではなく、その手前にある部屋の傍の壁にもたれながら震える足を叱咤し、少しでも早く部屋に向かおうとするが、力が入らない。とうとう、壁にもたれたままで廊下に蹲ってしまったのだった。
「んっ…あっ……だ…れか…もっ………」
生理的な涙を零しながら、誰も居ない廊下で1人助けを待つしか無かった。『支配人かスタッフに連絡しろ』とは言われたが、非常階段の途中で転びかけた時に落としてしまった様で、通信手段が何もない。途方に暮れながら、必死に発情期と思われる、身体の熱を持て余していると、どこからか会場で薫った龍哉の薫りが漂って来た。
ビックん⁉︎
「んあっ…⁉︎やっ……はぁ…ダメ……」
身体を熱に溶かされながら、ズリズリとその薫りから逃げるように、部屋の方へ進もうとする。
カツン…コツっ……カツン………
ゆっくりだが、確実に湊音の方へと身体を溶かす薫りが近付いてくる。湊音の身体は特別なαの薫りに震えが止まらず、もう下半身はぐずぐずになり涙は止まらなかった。
スッ……
「見つけた…俺の、運命………」
既に息も絶え絶えになっていた湊音の後ろから、身体を抱きしめた龍哉は廊下である事にも構わず自らの腕の中へと愛しいΩを囲い込んだ。
※長くなるので、ページを分けます。
2
お気に入りに追加
667
あなたにおすすめの小説
風俗店で働いていたら運命の番が来ちゃいました!
白井由紀
BL
【BL作品】(20時毎日投稿)
絶対に自分のものにしたい社長α×1度も行為をしたことない風俗店のΩ
アルファ専用風俗店で働くオメガの優。
働いているが1度も客と夜の行為をしたことが無い。そのため店長や従業員から使えない認定されていた。日々の従業員からのいじめで仕事を辞めようとしていた最中、客として来てしまった運命の番に溺愛されるが、身分差が大きいのと自分はアルファに不釣り合いだと番ことを諦めてしまう。
それでも、アルファは番たいらしい
なぜ、ここまでアルファは番たいのか……
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承くださいm(_ _)m
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
※長編になるか短編になるかは未定です
富豪αと再会したら貧乏だったことをバラされて人生詰んだんだが
grotta
BL
小学生の頃「匂う」と嫌がらせしてきたアルファの和泉に大学で再会したオメガの美浜。
昔貧乏だった美浜は毒親や過去と決別して大学へ入学した。それなのに、和泉に昔貧乏だったことをあっさり暴露される。
普通の大学生になりたかったのに、なんでこいつ俺のこと邪魔すんだよ。
しかも新歓でお持ち帰りされてなぜかワンナイトしてしまい――?
「一回寝ただけで彼氏ヅラすんな!」
勘違いのすれ違い執着オメガバースSS
※攻め視点追加しました!
婚約者は俺にだけ冷たい
円みやび
BL
藍沢奏多は王子様と噂されるほどのイケメン。
そんなイケメンの婚約者である古川優一は日々の奏多の行動に傷つきながらも文句を言えずにいた。
それでも過去の思い出から奏多との別れを決意できない優一。
しかし、奏多とΩの絡みを見てしまい全てを終わらせることを決める。
ザマァ系を期待している方にはご期待に沿えないかもしれません。
前半は受け君がだいぶ不憫です。
他との絡みが少しだけあります。
あまりキツイ言葉でコメントするのはやめて欲しいです。
ただの素人の小説です。
ご容赦ください。
イケメンがご乱心すぎてついていけません!
アキトワ(まなせ)
BL
「ねぇ、オレの事は悠って呼んで」
俺にだけ許された呼び名
「見つけたよ。お前がオレのΩだ」
普通にβとして過ごしてきた俺に告げられた言葉。
友達だと思って接してきたアイツに…性的な目で見られる戸惑い。
■オメガバースの世界観を元にしたそんな二人の話
ゆるめ設定です。
…………………………………………………………………
イラスト:聖也様(@Wg3QO7dHrjLFH)
エリートアルファの旦那様は孤独なオメガを手放さない
小鳥遊ゆう
BL
両親を亡くした楓を施設から救ってくれたのは大企業の御曹司・桔梗だった。
出会った時からいつまでも優しい桔梗の事を好きになってしまった楓だが報われない恋だと諦めている。
「せめて僕がαだったら……Ωだったら……。もう少しあなたに近づけたでしょうか」
「使用人としてでいいからここに居たい……」
楓の十八の誕生日の夜、前から体調の悪かった楓の部屋を桔梗が訪れるとそこには発情(ヒート)を起こした楓の姿が。
「やはり君は、私の運命だ」そう呟く桔梗。
スパダリ御曹司αの桔梗×βからΩに変わってしまった天涯孤独の楓が紡ぐ身分差恋愛です。
【完結】幼馴染から離れたい。
June
BL
隣に立つのは運命の番なんだ。
βの谷口優希にはαである幼馴染の伊賀崎朔がいる。だが、ある日の出来事をきっかけに、幼馴染以上に大切な存在だったのだと気づいてしまう。
番外編 伊賀崎朔視点もあります。
(12月:改正版)
全寮制の学園に行ったら運命の番に溺愛された話♡
白井由紀
BL
【BL作品】
絶対に溺愛&番たいα×絶対に平穏な日々を過ごしたいΩ
田舎育ちのオメガ、白雪ゆず。東京に憧れを持っており、全寮制私立〇〇学園に入学するために、やっとの思いで上京。しかし、私立〇〇学園にはカースト制度があり、ゆずは一般家庭で育ったため最下位。ただでさえ、いじめられるのに、カースト1位の人が運命の番だなんて…。ゆずは会いたくないのに、運命の番に出会ってしまう…。やはり運命は変えられないのか!
学園生活で繰り広げられる身分差溺愛ストーリー♡
★ハッピーエンド作品です
※この作品は、BL作品です。苦手な方はそっと回れ右してください🙏
※これは創作物です、都合がいいように解釈させていただくことがありますのでご了承ください🙇♂️
※フィクション作品です
※誤字脱字は見つけ次第訂正しますが、脳内変換、受け流してくれると幸いです
オメガの騎士は愛される
マメ
BL
隣国、レガラド国との長年に渡る戦に決着が着き、リノのいるリオス国は敗れてしまった。
騎士団に所属しているリノは、何度も剣を交えたことのあるレガラドの騎士団長・ユアンの希望で「彼の花嫁」となる事を要求される。
国のためになるならばと鎧を脱ぎ、ユアンに嫁いだリノだが、夫になったはずのユアンは婚礼の日を境に、数ヶ月経ってもリノの元に姿を現すことはなかった……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる