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甘すぎる新婚生活
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なにが起こったのかわからず、焦点の合わない目で天井をぼんやりと見つめる。
心地よい気怠さに包まれながら、乱れた呼吸が落ち着くのを待った。その間、碧斗さんは私の額や頬に次々と口づけていく。
しばらくして、ようやく碧斗さんが体を起こした。
本番はこれからだとわかっているけれど、初めてのことにどうにも頭が回らない。
準備を終えた碧斗さんが、私の顔を覗き込む。
「音羽の全部がほしい」
熱くささやかれ、緩慢な仕草で彼の腕に手を添える。その手を掬いあげた碧斗さんが、指先に優しく口づけてくれた。
視線を合わせたまま、こくりとうなずく。
彼によって、両足がぐっと持ち上げて開かされる。
あられもない姿をさらしていることが恥ずかしくて、シーツを握る手に力がこもった。
ぬかるみに感じる彼の熱に、ピクリと体を強張らせる。
それに気づいた碧斗さんは、私の片手を解いて指を絡ませるようつないでくれた。それだけで大きく安堵し、わずかに体の力が抜ける。
その隙に、彼はゆっくりと腰を沈めていった。
「っ……」
初めての痛みに、息を詰める。
「すまない。少しだけ我慢してくれ」
ぽたりと伝った雫に気づいてそっとうかがえば、私を見おろす碧斗さんの方がよほど辛そうな顔をしていた。
なにかに耐える彼の額には、大粒の汗がいくつも浮かんでいる。
視線が絡み合った途端に碧斗さんはふっと表情を緩め、幸せそうな笑みを向けてくれた。
それだけで、私の中に彼に対するどうしようもないほどの愛しさが込み上げてくる。
「碧斗さん」
空いていた片手を伸ばし、頬にそっと触れる。一瞬目を見開いた彼は、そこに自身の手を添えてさらに頬に押しつけた。
「はあ」
大きく息を吐きだしながら、つないだ手を離して私を抱きしめた。
私を組み敷く碧斗さんにすっかり見入っていた間に、最後まで進んでいたようだ。ふたりの間には、わずかな隙間もない。
「音羽」
私の肩口に顔をうずめ、頬をすり寄せてくる。
彼は私より年上で大人なのに、なんだか甘えられているようで胸がくすぐったい。
やがて、肘をついて体を起こした碧斗さんが、間近から私の顔を覗いた。
「大丈夫か?」
「はい」
痛みは薄れ、なんだか焦れったさを感じはじめていたところだ。
私の表情を伺いながら、碧斗さんがゆっくりと動きはじめる。
最初は気持ちがいいのかよくわからないでいたが、体内の一点を掠めた途端に息をのむ。
「ああ、ここか」
私の体がビクリと跳ねるのを見て、碧斗さんが楽しげな笑みを浮かべた。
反応の大きかった個所を繰り返し攻められて、絶えず嬌声をあげ続ける。そうして、無我夢中で彼に縋りついた。
「音羽」
まるで私が彼にとって特別な存在であるかのように、情熱的に何度も名前を呼ばれる。そのたびに心が震え、胸が熱くなった。
「碧斗、さん」
あふれる気持ちを伝えるように、私からも繰り返し彼を呼んだ。
次第にスピードを増す律動に振り落とされないよう、必死についていく。
さっきよりも大きな快感の予感に、体が小さく震えはじめた。全身にギュッと力が入り、手足の指先を握り込む。
「あ、ああ……」
さらに追い詰められて、ついに絶頂を極めた体が大きく痙攣する。
「音羽」
私をぐっと抱き込んだ碧斗さんも、数回叩きつけるように腰を打ちつけて動きを止めた。
しばらくして隣に体を横たえた碧斗さんが、私を抱き寄せて髪をなでてくれる。
直に感じるぬくもりに安堵して、彼の胸もとに無意識のうちに頬をすり寄せながらそっと瞼を閉じた。
そういえば今日は結婚式本番で朝から緊張し通しだったと、怒涛の一日が脳裏をかすめる。
徐々に疲労に襲われて、そのまますっと意識を手放した。
心地よい気怠さに包まれながら、乱れた呼吸が落ち着くのを待った。その間、碧斗さんは私の額や頬に次々と口づけていく。
しばらくして、ようやく碧斗さんが体を起こした。
本番はこれからだとわかっているけれど、初めてのことにどうにも頭が回らない。
準備を終えた碧斗さんが、私の顔を覗き込む。
「音羽の全部がほしい」
熱くささやかれ、緩慢な仕草で彼の腕に手を添える。その手を掬いあげた碧斗さんが、指先に優しく口づけてくれた。
視線を合わせたまま、こくりとうなずく。
彼によって、両足がぐっと持ち上げて開かされる。
あられもない姿をさらしていることが恥ずかしくて、シーツを握る手に力がこもった。
ぬかるみに感じる彼の熱に、ピクリと体を強張らせる。
それに気づいた碧斗さんは、私の片手を解いて指を絡ませるようつないでくれた。それだけで大きく安堵し、わずかに体の力が抜ける。
その隙に、彼はゆっくりと腰を沈めていった。
「っ……」
初めての痛みに、息を詰める。
「すまない。少しだけ我慢してくれ」
ぽたりと伝った雫に気づいてそっとうかがえば、私を見おろす碧斗さんの方がよほど辛そうな顔をしていた。
なにかに耐える彼の額には、大粒の汗がいくつも浮かんでいる。
視線が絡み合った途端に碧斗さんはふっと表情を緩め、幸せそうな笑みを向けてくれた。
それだけで、私の中に彼に対するどうしようもないほどの愛しさが込み上げてくる。
「碧斗さん」
空いていた片手を伸ばし、頬にそっと触れる。一瞬目を見開いた彼は、そこに自身の手を添えてさらに頬に押しつけた。
「はあ」
大きく息を吐きだしながら、つないだ手を離して私を抱きしめた。
私を組み敷く碧斗さんにすっかり見入っていた間に、最後まで進んでいたようだ。ふたりの間には、わずかな隙間もない。
「音羽」
私の肩口に顔をうずめ、頬をすり寄せてくる。
彼は私より年上で大人なのに、なんだか甘えられているようで胸がくすぐったい。
やがて、肘をついて体を起こした碧斗さんが、間近から私の顔を覗いた。
「大丈夫か?」
「はい」
痛みは薄れ、なんだか焦れったさを感じはじめていたところだ。
私の表情を伺いながら、碧斗さんがゆっくりと動きはじめる。
最初は気持ちがいいのかよくわからないでいたが、体内の一点を掠めた途端に息をのむ。
「ああ、ここか」
私の体がビクリと跳ねるのを見て、碧斗さんが楽しげな笑みを浮かべた。
反応の大きかった個所を繰り返し攻められて、絶えず嬌声をあげ続ける。そうして、無我夢中で彼に縋りついた。
「音羽」
まるで私が彼にとって特別な存在であるかのように、情熱的に何度も名前を呼ばれる。そのたびに心が震え、胸が熱くなった。
「碧斗、さん」
あふれる気持ちを伝えるように、私からも繰り返し彼を呼んだ。
次第にスピードを増す律動に振り落とされないよう、必死についていく。
さっきよりも大きな快感の予感に、体が小さく震えはじめた。全身にギュッと力が入り、手足の指先を握り込む。
「あ、ああ……」
さらに追い詰められて、ついに絶頂を極めた体が大きく痙攣する。
「音羽」
私をぐっと抱き込んだ碧斗さんも、数回叩きつけるように腰を打ちつけて動きを止めた。
しばらくして隣に体を横たえた碧斗さんが、私を抱き寄せて髪をなでてくれる。
直に感じるぬくもりに安堵して、彼の胸もとに無意識のうちに頬をすり寄せながらそっと瞼を閉じた。
そういえば今日は結婚式本番で朝から緊張し通しだったと、怒涛の一日が脳裏をかすめる。
徐々に疲労に襲われて、そのまますっと意識を手放した。
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