わたしの愛した世界

伏織

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十一章

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十一章


さて、“ねじ”を発見し、結界を解いたまではいいのだが、ここで己の適当さを恨むことになった。そもそも、“ねじ”をどう壊すのかを考えていなかった。
壊すといっても、見た感じ明らかに金属だ。素手でどうこうできる材質ではない。引っ張ってみるか、それとも回してみるか。―――回りだしたら国が崩壊しだすんじゃなかったか。


「ね、これどうしよう」

「……僕らはノープラン過ぎたね。今後の課題だ」

「今まさにぶち当たってるよ」


クロスは適当な手付きで肩に掛けたバッグを掴むと、中に腕を突っ込んだ。見た目以上にいろいろなものが入るそれは、クロスの肩までもすっぽりと飲み込んだ。しばらくゴソゴソと鞄の中を探り、やがてクロスは手を鞄から出した。その手には、ハンマーが握られていた。


「とりあえず、一発かましとく?」

「そういうの嫌いじゃないけど、あれにそんなもん通用するかね」


と、言いつつもそのハンマーを受け取り、右手でしっかりと握りしめた。あの“ねじ”には嫌なもんを見せられた。意味がなさそうでも、多少スッキリはするだろう。ハンマーの柄とヘッドはどちらも金属製で、グリップはゴムで覆われている。地球にもある、一般的なハンマーだ。持った感じは程よい重さで、振り回すのにちょうど良さそうだ。


「これさ、ナイフと一緒に腰に下げれるようにできないかな」

「気に入ったのね。どこかで丁度いいベルト探そう。すぐ取り出して殴れると便利だもんね」


人を殺す、という事以外でなら、クロスは私の物騒な言動を止める気はないようだ。むしろ、少し面白がっているようにも見える。いや、これは完全に面白がってるな。

ハンマーを持った手をぶらぶらさせながら、“ねじ”に歩み寄っていく。前に見たときの妙な迫力は欠片も感じず、もはやただの飾りにも思える。クロスにも目視できる様になっている時点で、彼にもこれを破壊できるのではと考えもしたが、どうやらそれはできないらしい。

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