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十章
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「私、なんで寝てたの?」
「はぁ?“なんで”ぇ?」
水を飲んで、十分程である程度声が出るようになった。私の問いかけに、クロスが眉間に皺を寄せた。何を言ってるんだお前は、ふざけてるのかと言いたげだ。「こっちのセリフだよ」その声には、彼には珍しく静かな怒りが滲み出ていた。
「君こそ何してたわけ?何を考えて、あんな所で一人でロッククライミングなんかしてたわけ?馬鹿なんじゃない?馬鹿なんだよねぇ!?」
「声うるさ........」
「うるさくもなるわ!」
どうやら、本気で怒ってるようだ。ベッドに寝たままの私を、腕組みをして鼻息荒く見下ろしている。しかし「“ねじ”があったんだ........」という私の言葉で、驚きの表情が見られたが、今の状況を思い出したのか、直ぐに怒り顔を取り繕った。下手くそだなあ。
「確かなの?」
「おう。このたんこぶとあんたの怒りようからして、私はあの岩の下で倒れてたんだろ?」
「う、うん。大の字に倒れてたよ。しかも服が破けて胸がちょっと見えててさ、君を連れ帰ったときにエリザさんに疑われたんだよ、僕」
なるほど、森の中で私を襲ったのかと。弁解しても私が寝込んでるせいで、余計警戒されただろう。そりゃあ、彼が少々私に怒りたくなるという気持ちも、まあ理解はできる。
「なんとか信じてもらえたけどさ。でも未だになんか、ジトッとした目で見られることがあるんだ……」
「私、なんで寝てたの?」
「はぁ?“なんで”ぇ?」
水を飲んで、十分程である程度声が出るようになった。私の問いかけに、クロスが眉間に皺を寄せた。何を言ってるんだお前は、ふざけてるのかと言いたげだ。「こっちのセリフだよ」その声には、彼には珍しく静かな怒りが滲み出ていた。
「君こそ何してたわけ?何を考えて、あんな所で一人でロッククライミングなんかしてたわけ?馬鹿なんじゃない?馬鹿なんだよねぇ!?」
「声うるさ........」
「うるさくもなるわ!」
どうやら、本気で怒ってるようだ。ベッドに寝たままの私を、腕組みをして鼻息荒く見下ろしている。しかし「“ねじ”があったんだ........」という私の言葉で、驚きの表情が見られたが、今の状況を思い出したのか、直ぐに怒り顔を取り繕った。下手くそだなあ。
「確かなの?」
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なるほど、森の中で私を襲ったのかと。弁解しても私が寝込んでるせいで、余計警戒されただろう。そりゃあ、彼が少々私に怒りたくなるという気持ちも、まあ理解はできる。
「なんとか信じてもらえたけどさ。でも未だになんか、ジトッとした目で見られることがあるんだ……」
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