わたしの愛した世界

伏織

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八章

8-9

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必死なライラの声を、女の高笑いがかき消す。“嘘は嫌いだなぁ”


“教えてよ!ルークを、私の弟を殺した奴らはどこなの!?”

“きゃあああーーー!!”


喉から血を吹き出すような、強い悲鳴が上がる。


“お願い、やめて!本当に知らないの!もうやめて!”


最早ライラの声は泣いていた。必死に訴えるが、女は聞き入れなかった。次々と上がる悲鳴と、女の含み笑いが鼓膜を支配する。

私は下唇を噛み締め、音が止むのを待った。







音声は15分ほど続き、ブツリと切れた。我々三人は黙りこくり、蓄音機を見つめていた。


「あの人、ルークのお姉さんだったんだね」


沈黙を破ったのは、クロスだった。杖を肩に乗せ、片膝を立てて私を見上げている。

あの女はルークの姉で、彼や彼の仲間を殺した私たちに復讐をする為に襲撃したのだ。しかも、ライラの親指を締め付けていた物の紋章から、この国の軍の関係者ということも分かる。一筋縄ではいかなそうだ。簡単には殺せないし、和解も難しそうだ。
ひとつの村の住人を数時間中に全員殺すような人が、素直に話を聞いてくれるとは思えない。


「外にあった足跡から察するに、恐らく犯人は三人だね」

「三人で村の人間を全員........」

「慣れてるね。あの女はともかく、かなり無駄がない手口だよ」
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