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八章
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しおりを挟む「そうだね。ライラも中々胸糞悪いことになってた。
........ーーどうする?殺す?」
「そうしたいね、是非とも」
部屋の入口から、エリザが一瞬顔をのぞかせたが、まるで見えない力で押されたように、パッと見えなくなった。壁にぶつかるような、鈍い音がする。
「ごめんなさい、ちょっとここは見せられないです」
私に手を貸して立たせながら、クロスが入口に向かって言った。私の手を握った彼の手は、僅かに震えていて、そして冷たかった。
宿の外は暗かった。街灯はすべて落とされているそうだ。なんというか、手慣れてた犯行だ。
クロスが確認した村の家屋の数は全部で50そこそこだという。全家屋のドアを開けて、中に侵入して直接死体を見る、という面倒なことは避け、ライラの居るあの店以外はすべて魔法で透視したそうだ。そのうえで、村の住人は全員殺されていたという。
ほとんどがベッドの上で首を切られて死亡しており、なんとも無駄のない手際である。
「ここ、このまま放置して離れるのもどうかと思うんだ。いくらなんでも腐るというか」
「そういう問題なのかね」
軽い口調で言いながら、ライラが住み込みで働くことになっていたあの店に向かった。かなり取り乱していたが、私もだいぶ落ち着いた。もし、一人でここに来て、一人ですべてを見ていたら、流石に狂っていたかも知れない。
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