わたしの愛した世界

伏織

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四章

4-14

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「あのさあ、ミミさん」


洞穴から顔を出したクロスが、不安そうな声で言った。


「寝床できたけどさあ、ここ、獣の穴じゃない?やばくない?」

「じゃあ外で寝袋とテントで凌ぐか?季節は秋だ。夜は冷えるぞ」

「…………獣よけの結界を張りに、行ってきますね」

「よろしい」


腹を括ったような表情で、クロスは洞穴から出て来た。

さて、周囲の草を抜いて、石もどけるまでは良かったが、ここで重大なことに気付いた。キャンプをしたことがない。火の付け方はなんとなく想像できるが、実際にやってみていいものだろうか。
「どう思う?」ウサギに聞いてみる。丸い目で見上げてくるだけだ。


「何、ウサギに話しかけちゃって。病んだの?」


「私は健全ですよ。ーーーキャンプとかしたことないからさ、焚き火の仕方とかいまいち正しいやり方を知らないなって」


そう言った私を無言で見つめながら、足元に置いていた魔法のカバンを取るクロス。中に手を突っ込んで長い木の棒ーーー魔法の杖なんだがーーーを取り出すと、ヒョイと振った。すると、周囲に落ちていた枝たちがふわりと宙に浮かび上がり、勢いよく私の目の前に集結した。そしてガラガラと音を立てて地面に落ちると、中心部に小さく火が点いた。


「これでいいでしょ」

「う、うん……」


楽でいいんだけど、いいんだけど……、なんか、そうじゃ、…………ないんだよなあ。

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