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四章
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しおりを挟む「流石に一人では限界があるからね。思考にも、行動にもね。だから正確な数や原因はわからない。
師匠が残した道具の中に、この星の全体図を球体にーーーえーと、つまり地球儀みたいなものがあって、国に変動があったらそれに現れるんだ」
「見せて」
「君がここに来る何日か前に思い切り転んじゃってさ。頭から突っ込んで粉々だよ。魔法で修復できるレベルの代物でもなかったし」
「お前ってやつは本当に、最高だよ」
私の皮肉を軽く流して、クロスは目玉を回しながら肩をすくめた。そんなに気にしてない様子ということは、もうそれを使う気はないということなのだろう。私が来たからかな。もし私が救世主じゃなかったら、また必要になるんじゃないか、と質問しようとして、やめた。また私が不安になるだけだ。
クロスが自身の足で赴いた滅んだ国の数は、本人曰くおよそ100に近いそうで、その国のすべてから、“ねじ”もしくは“ねじ”が刺さっていたであろう土台が、地面に残っていたという。滅んだ国のほとんどの“ねじ”が完全に消滅しているか、ボロボロに朽ちていたという。
「中にはピカピカのものもあったよ」地面を血管のように這い回る木の根の上を慎重に歩きながら、クロスは言った。「かなり少数だったけどね。十にも満たない数だよ」彼の見た限りでは、無傷の“ねじ”が発見された国は数多くの戦争や内戦があった国や、その近隣の小国だったという。そのことから、おそらくそれらの国は“ねじ”が原因で滅んだ国ではない可能性が高い。
ここまで多くの国が短期間で滅んでいるのに、なぜ他の国の人間は気づかないのだろう?
「そこは、みんな都合のいい方に考えてるんじゃないかな。この国が魔法使いを嫌っている理由のように」
病気や戦争や災害で勝手に死んだ国。我々には関係がない、といったところか。しかし、それは国民の大多数がそのように考えているというだけで、きっと賢い人は異変に気付いて調査するだろう。そうなれば、私の役目もいらなくなるのではないか。
「それはないよ。魔法が生きてる“ねじ”は君にしか見つけられない。君は必要だよ。
まあ、協力者が現れる可能性もあるね。きっと感づいてる人も少なくはないはずだから」
「もうひとりくらい救世主いても良くない?一人で残り200を回るのはハードすぎる」
「大丈夫。もし死んだら僕が生き返らせるから」
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