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二章
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しおりを挟む「さて、荷物をまとめたよ。これ君の分」
茶色のショルダーバッグを手渡され、それを肩にかけた。中身を見てみると、果物のような実やパン、水の入った皮の袋が入っていた。
「そのビスケットは僕の好物だから、つまみ食いしてもいいけど少し残しといて」
遠足じゃないんだから.......。
クロスも同様のショルダーバッグを肩に下げており、見た感じペシャンコで中身は入っていないようにみえる。しかし、彼が玄関のドアの脇に置いてあった長い杖を、その中にいとも簡単に入れるところを見てしまった。どうやら、クロスのそれは特殊なバッグのようだ。
「昨日はとりあえず町に降りて道具や服を揃えるだけにしよう。君もだけど、僕もこの世界で外に出かけるのは初めてだからね。最初から焦って、どんどん先に進むのはよくない」
走る事よりも先に、まず歩くことを覚えろ、ということか。その考えには私も賛成だ。変に気張って無理をするのは、私もあまり好きではない。
「もう一つ質問」
「はい。なんだね」
「私達がいるこの場所は、標高何メートルくらい?」
「2000」
なるほど。標高2000メートル。「最初から焦って、どんどん先に進むのはよくない」だっけ。どの口が言うか。そんな高さの所から、山の麓の町まで行くなんて。この子はちょっと世間知らずなのだろうか。
「あのさ、その顔で分かるけど、なにも僕は歩いて山を降りるなんて考えてないんだよ。
僕をなんだと思ってるの。魔法使いだよ?」
「なるほどね。つまり魔法で町まで移動するってことね」
「そう。厳密には“町の近くまで”だけどね」
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