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終章
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しおりを挟むあの騒動から3日後、マスコミの関係者だという女性が私を訪ねてきた。
学校が終わった後、一人で電車に乗って自宅のある区域の駅に降りたら、出入口の所でとある女性に呼び止められたのだ。 彼女は近くにある喫茶店で話がしたいと言って、私を誘った。
知らない人についていくなと幼少より教えられてきたが、この歳になってまでそれを守る気はない。 それに、なんとなくこの女性と話をしてみたかった。
「大変だったね」
喫茶店の窓際のテーブルに向かい合って座り、飲み物を注文した。 女性はミルクティーで、私はオレンジジュース。
「でも、お手柄だったじゃない。
聞いたわよ、家に忍び込んでまで証拠を探したんだって?」
と、いたずらっぽく笑う女性。 とても美人だった。
「あの…………、話はなんですか?」
「もちろん、今回の事件の話よ」
「全て警察に話しました。 マスコミなら知ってるでしょ?」
土日の二日間、警察署に行って事件の一部始終を話していた。 何回も。 当然そのことはマスコミにも通じてるのだろう、全国ニュースでも取り上げられていた。 名前こそ出されなかったが「一人の少女の大活躍」と賞され、誇らしくもあったが面倒だった。
「いいえ、あなたの話じゃなくて、あたしの話を聞いて欲しいのよ」
「あなたの?」
「ええ。
結局、奴がどこの誰なのか、知りたいんじゃない?」
女性の笑顔に、少し危険なものを感じ取った。 殺意や憎しみではないが、修羅場を潜り抜けてきた人間独特の、闇と色気を感じさせる笑みだ。
「…………本当にマスコミなんですか?」
「どうしてそう思うの?」
「マスコミの人よりも刑事とかの方が似合いそうだから」
私の言葉に、女性は少し驚いた顔をした。 そして「へーぇ」面白そうに笑う。 というよりにやついた。
しかし私の質問は無視することにしたらしい。
「“脳下垂体小人症”って知ってる?」
「脳下垂体………?」
「小人症。 まあ早い話が、身体の異常で身長が伸びないって病気」
「はぁ………」
「あの犯人はその脳下垂体小人症の人間だったの」
なるほど。 どうりでやたら小さいと思ったのだ。
そこで丁度店員が飲み物を持ってきて、私達の前に置いた。 オレンジジュースを一口飲んで、私は女性に向き直る。
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