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第二章
王子、下界へ降りる。
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久々の投稿です。
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オルフィナ王国第1王子、セルシュタイン・フィーゲル・オルフィナ。
周りは彼を『プリンス・オブ・ザ・プリンス』と評する。
まず頭が良い。齢10にして、国政を理解し、実践し、成功に収めたのだ。
内容は、徴税の効率化である。結果は、たった0.01%の税の増加であったが、これを鼻で笑う訳には行かない。
何せ、この数世紀に渡り誰一人として成し得なかった増税に成功したのだ。別に愚王がいたわけではない。どちらかと言うと、名君が多かった。代々国を豊かにすることを第1に考え、民の生活を充実させる為に骨を折ったのである。
さて、ここで一度、歴代国王の功績を振り返ってみよう。
初代から4代国王の時代の王国黎明期が終わり、
国として十分な領土を得るや否や、すぐさま内政に打ち込み王国の基盤を作った5代。
先代の遺志を継ぎ、王国の体制をより盤石なものとした6代。
即位して間もなく病死した7代の跡を継いだ8代の時代には、大規模な農業改革が行われた。
国庫が潤い始め、他国から狙われるようになったことを悟った9代は、国防を強化。
疫病が大流行し、10代から12代にかけてはその対応に追われたが、疫病に有効な治癒魔術式が作られた13代の時に事態は完全に収束し、一時右肩下がりだった景気も、徐々に回復の兆しが見られた。
16代の時に文化面の発展、18代目国王の際には腐敗しきった行政を立て直し、役人達を様々な柵から解放した。
それから幾代もの時を経て、現在、第23代国王の治世の下、我々国民は平和な日常を送っている。
確かに地味なことではあるのだが、この王太子様の成したこの偉業は、まさにこの時代の王国が求むものであったのだ。
そんな王子様は・・・・
・・・・・今、とある店先にて立ち往生していた。
その店とはズバリ、『アルフォンス商会』。
代々魔術の素質もある王家の一員である彼は国内、いや、大陸の最高学府であるルクセンブルグ魔術学園に在籍している。
現在二回生であり、入学した頃にオープンしたアルフォンス商会の存在は知っていたが、あまり興味を示さなかった。
そんな彼が何故今更気になり始めたのか。
きっかけは半月前、勉強に根を詰めすぎてぶっ倒れたことから始まる。
すごいぞ、おーじ。遊びに興じる他の学生にその爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
いや、そうじゃなくて。
原因は息抜きを全くしなかったこと。
勿論お付きの者達は酷く慌てた。
もう一回同じ事が起きれば間違いなく自分たちはクビだ、と。
そこで彼らは考えた。
そうだ、最近話題のあの店に連れて行けばいいんじゃね、と。
それから家臣が色々そそのかし、紆余曲折あって今に至る。
今までこういったお店に縁の無かった王子、セルシュタインは、入店を躊躇していた。
だから立ち往生しているのである。
あまりにも長時間そこに居たため、通行人も怪しいものを見るかのような目で王子を見る。
遠くの薬屋の物陰から様子を伺っていた家臣が、流石に声を掛けようと思った矢先、王子は意を決したかのように店のドアを開いた。
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オルフィナ王国第1王子、セルシュタイン・フィーゲル・オルフィナ。
周りは彼を『プリンス・オブ・ザ・プリンス』と評する。
まず頭が良い。齢10にして、国政を理解し、実践し、成功に収めたのだ。
内容は、徴税の効率化である。結果は、たった0.01%の税の増加であったが、これを鼻で笑う訳には行かない。
何せ、この数世紀に渡り誰一人として成し得なかった増税に成功したのだ。別に愚王がいたわけではない。どちらかと言うと、名君が多かった。代々国を豊かにすることを第1に考え、民の生活を充実させる為に骨を折ったのである。
さて、ここで一度、歴代国王の功績を振り返ってみよう。
初代から4代国王の時代の王国黎明期が終わり、
国として十分な領土を得るや否や、すぐさま内政に打ち込み王国の基盤を作った5代。
先代の遺志を継ぎ、王国の体制をより盤石なものとした6代。
即位して間もなく病死した7代の跡を継いだ8代の時代には、大規模な農業改革が行われた。
国庫が潤い始め、他国から狙われるようになったことを悟った9代は、国防を強化。
疫病が大流行し、10代から12代にかけてはその対応に追われたが、疫病に有効な治癒魔術式が作られた13代の時に事態は完全に収束し、一時右肩下がりだった景気も、徐々に回復の兆しが見られた。
16代の時に文化面の発展、18代目国王の際には腐敗しきった行政を立て直し、役人達を様々な柵から解放した。
それから幾代もの時を経て、現在、第23代国王の治世の下、我々国民は平和な日常を送っている。
確かに地味なことではあるのだが、この王太子様の成したこの偉業は、まさにこの時代の王国が求むものであったのだ。
そんな王子様は・・・・
・・・・・今、とある店先にて立ち往生していた。
その店とはズバリ、『アルフォンス商会』。
代々魔術の素質もある王家の一員である彼は国内、いや、大陸の最高学府であるルクセンブルグ魔術学園に在籍している。
現在二回生であり、入学した頃にオープンしたアルフォンス商会の存在は知っていたが、あまり興味を示さなかった。
そんな彼が何故今更気になり始めたのか。
きっかけは半月前、勉強に根を詰めすぎてぶっ倒れたことから始まる。
すごいぞ、おーじ。遊びに興じる他の学生にその爪の垢を煎じて飲ませてやりたい。
いや、そうじゃなくて。
原因は息抜きを全くしなかったこと。
勿論お付きの者達は酷く慌てた。
もう一回同じ事が起きれば間違いなく自分たちはクビだ、と。
そこで彼らは考えた。
そうだ、最近話題のあの店に連れて行けばいいんじゃね、と。
それから家臣が色々そそのかし、紆余曲折あって今に至る。
今までこういったお店に縁の無かった王子、セルシュタインは、入店を躊躇していた。
だから立ち往生しているのである。
あまりにも長時間そこに居たため、通行人も怪しいものを見るかのような目で王子を見る。
遠くの薬屋の物陰から様子を伺っていた家臣が、流石に声を掛けようと思った矢先、王子は意を決したかのように店のドアを開いた。
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