君の声が聞きたくて

誠奈

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第26章  番外編☆dolce

15

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 駅に着くと、俺達はタクシーに乗り、事前に予約してあったホテルへと向かった。

 チェックインの時間までは随分余裕があるから、不要な物だけをフロントに預け、翔真さんの会社の近くにあるファミレスで雅也さんを待つ。
 駅弁を食べ損なった翔真さんは、余程腹が減っていたのか、ボリューム満点のランチプレートを無心で掻き込んでいる。


 口ん中パンパンにしちゃってさ、まるで子供みたいだな。


 「ねぇ、これから会議なんでしょ?」
 「ん? そうだけど?」
 「そんなに食べたら眠くなっちゃわない?」


 俺なんて、それでなくても毎日眠いし、その上腹が満たされたら会議どころじゃなくなってしまうのに……
 そもそも会議とか、想像しただけでも退屈そうじゃん?


 「いや、全然? 良く言うだろ、腹が減っては戦ができぬ、ってさ」
 「それは……そうだけど……」

 きっと翔真さんは根っからの仕事人間なんだろうな。
 俺とは全然違う。

 「ふー、腹いっぱい」

 ご馳走様でした、と丁寧に両手を合わせ、ベルトを緩めたお腹を撫でながら、今度はアイスカフェラテに手を伸ばす。
 ストローを使うことなくグラスに直接口を付け、カフェラテを一気に飲み干した翔真さんは、一瞬腕時計に視線を落とすと、コートとビジネスバック、そして伝票を手に席を立った。

 「じゃあ、俺先行くから」
 「うん」
 「会議終わったら、相原さんの店に迎えに行くから待ってて? 俺も彼には挨拶しておきたいからさ」
 「うん、分かった、待ってる」

 俺が笑顔を向けると、安心したように漸く一歩を踏み出す翔真さん。
 でもその足はすぐに止まる。

 「それから……」


 過保護過ぎなのかなんなのか……、今度は何だろう?


 「一応どこにいるかだけ連絡くれる? じゃないと心配だから……」


 ……ったく、いつまでも子供扱いすんだから。
 この調子だと、そのうち俺の身体にGPSでも仕込まれかねないな……
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