君の声が聞きたくて

誠奈

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第24章  tempestoso

20

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 和人が俺に抱かれている時、和人はいつも驚く程甘い声を上げていた。俺はその声を聞くのが好きだった。


 でもまさか自分がそんな声を上げるなんて……
 声が出せない時は、自分の声がどんなんかも分からなかったし、想像したこともなかったけど、いざ実際に耳にすると……

 めちゃくちゃ恥ずかしいじゃんか……


 「どうしたの? もっと聞かせて?」
 「やだ……、恥ずかしい……し……」

 口を塞いだまま、首を横に振る俺を見下ろしながら、翔真さんがニヤリと笑う。


 あ、この顔……


 今日久しぶりに会って気付いたこと。
 翔真さんが普段は大きな目を、思いっきり細めて笑うのは、何かを企んでる時の顔だ、って。


 そして俺の予想は見事に的中で……


 「じゃあ、ずっとそのままでいてね?」
 「え……?」

 言われて、ヤバイと思った時には既に遅かった。
 不器用な翔真さんには似合わない、至極素早い手付きで俺はあっという間に丸裸にされてしまった。


 こうなったらもう翔真さんの思う壷で……


 「これてもまだ抵抗するつもり?」

 聞かれて俺は観念したように首を横に振り、両手を口から離し、翔真さんのセーターの裾を掴んだ。

 「俺ばっかり狡い。翔真さんも見せて? じゃないと、本当に病気じゃないか確かめらんないでしょ?」

 「はは、確かにそうだね?」

 翔真さんが身体を起こし、着ていたセーターを脱ぎ捨てる。

 三年前よりは、幾分か筋肉の付いた逞しい胸板に、思わず見蕩れてしまう。そして翔真さんがベルトに手をかけようとしたその時、俺は思わずその手を掴んだ。

 「智樹?」
 「俺にさせて?」
 「えっ?」

 戸惑いの表情を浮かべる翔真さんを見上げながら、俺は翔真さんのウエストを締めるベルトを外し、スラックスの前を広げたそこに、そっと唇を寄せた。

 「あ、こら、それ反則だろ……」

 動揺する翔真さんに、今度は俺がニヤリと笑って見せる。


 俺だってやられてばっかじゃないしね?


 狼狽える翔真さんの足からスラックスを引き抜き、恐らくこの三年ろくに触れてもいないだろうそこに直接指を触れた。
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