君の声が聞きたくて

第２２章 subito

１５

　その晩、俺達は約束通り、三人で飯に出かけた。
　雅也さんも潤一さんも、俺を気遣ってか次の機会にしようって言ってくれたけど、俺がどうしても今日じゃなきゃ嫌だって我儘を言った。

　でもさ、お洒落なレストランが良いって言う潤一さんと、気楽な居酒屋が良いって言う雅也さんさんとで意見が合わなくて……

　最終的に決定権が俺に委ねられた結果、俺が以前から気になっていたラーメン屋に決まり、何故か俺を真ん中に、三人でカウンターに並んでラーメンを食べた。

　会話らしい会話なんて殆ど無かったけど、それでも二人と一緒にいられる時間はとても幸せで、一味を入れ過ぎたせいだって誤魔化したけど、本当は二人の優しさが嬉しくて、涙が出そうになったんだ。

　そしてその時、俺は誓ったんだ。


　もう泣かないって。
　もっと自分を誇れるようになろうって。

　いつか……、どれくらい時間がかかるかは分かんないけど、翔真さんに会えるその日まで……




　俺は我武者羅に働いた。

　それまで開店時間に合わせての出勤だったのを、雅也さんと同じ時間に出勤して仕込みを手伝ったり、市場に買い出しに行ったり、算数すら苦手なのに、帳簿の付け方だって教わった。
　尤も、雅也さんは超が付く程の機械音痴だから、アナログな方法ではあったけど。

　本来、暇さえあれば寝ていたい俺だから、生活のリズムを掴むまではそれなりに大変だったし、身体が悲鳴を上げそうなくらいに疲れていたけど、充実はしていた。


　だからかな、時間が経つのが凄く早くて……


　ハッと気が付いた時には、翔真さんと別れたあの日から、三年の月日が過ぎようとしていた。

　その間も、翔真さんに対する俺の気持ちは、何一つ変わることはなかった。寧ろ、迷いがなくなった分、より強くなっていたのかもしれない。


　翔真さんを好きだ、って気持ちが……