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第14章 dolore
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泣くつもりなんてなかった。
なのに一度決壊してしまった俺の涙腺は、もうどうしたって塞き止めることは出来なくて、突然俺が泣き出したことに慌てた翔真さんが、両手で俺の頬を包んだ。
「ごめん、違うんだ、そうじゃなくて、俺はただ君をこれ以上傷つけてしまうのが怖くて、だから……」
零れる涙を吸うように、翔真さんの唇が俺の頬に触れる。
そして、「おいで?」と俺の手からペンを抜き取ったかと思うと、そのまま指を絡められて……
『翔真さん?』
「ごめんね、智樹。君をこんな風に泣かせたくはなかった」
見上げた視線の先で、今度は翔真さんの方が泣きそうな顔をしていた。
その顔を見た瞬間思ったんだ。
ああ、この人は本気で俺のことを……って。
出会ってからの時間なんて関係ない、同性であることも、世間体だって、直接言葉を交わせないことも、俺のために、目の前に立ちはだかる壁全てを乗り越えようとしてくれていたんだ、って。
良かった。
初めて心の奥底から好きだと思えた人がこの人で……、翔真さんで本当に良かった。
「ベッド、行こうか?」
『うん……』
小さく頷いた俺の額に翔真さんの唇がそっと触れたかと思うと、急に俺の身体がフワッと浮き上がって、俺は咄嗟に翔真さんのシャツをキュッと握った。
もし許されるのであれば、ずっとこうしていたい。
この熱い胸を、逞しい腕を、俺だけの物にしたい。
でも離さなきゃいけないんだよね?
それが分かってるから、翔真さんが俺の気持ちに応えてくれたことが嬉しくて、こんなにも幸せなのに、悲しくて、切なくて……
俺は翔真さんに見えないように、目尻に浮かんだ涙をそっと拭って、無理矢理笑顔を浮かべた。
でもベッドにそっと下ろされた途端、なんだか急に恥ずかしさが込み上げてきて……
「明かり消そうか」
多分翔さんも緊張してたんだろうね、凄く強ばった顔で言うから、俺は首を横に振った。
「消さなくて良いの?」
『うん』
明かり消したら、翔真さんの顔見えなくなっちゃうでしょ?
「良かった、俺も同じだから」
えっ?
「智樹の姿をこの目に焼き付けておきたいから」
凄く嬉しかった。
俺も翔真さんと同じこと考えてたから……
なのに一度決壊してしまった俺の涙腺は、もうどうしたって塞き止めることは出来なくて、突然俺が泣き出したことに慌てた翔真さんが、両手で俺の頬を包んだ。
「ごめん、違うんだ、そうじゃなくて、俺はただ君をこれ以上傷つけてしまうのが怖くて、だから……」
零れる涙を吸うように、翔真さんの唇が俺の頬に触れる。
そして、「おいで?」と俺の手からペンを抜き取ったかと思うと、そのまま指を絡められて……
『翔真さん?』
「ごめんね、智樹。君をこんな風に泣かせたくはなかった」
見上げた視線の先で、今度は翔真さんの方が泣きそうな顔をしていた。
その顔を見た瞬間思ったんだ。
ああ、この人は本気で俺のことを……って。
出会ってからの時間なんて関係ない、同性であることも、世間体だって、直接言葉を交わせないことも、俺のために、目の前に立ちはだかる壁全てを乗り越えようとしてくれていたんだ、って。
良かった。
初めて心の奥底から好きだと思えた人がこの人で……、翔真さんで本当に良かった。
「ベッド、行こうか?」
『うん……』
小さく頷いた俺の額に翔真さんの唇がそっと触れたかと思うと、急に俺の身体がフワッと浮き上がって、俺は咄嗟に翔真さんのシャツをキュッと握った。
もし許されるのであれば、ずっとこうしていたい。
この熱い胸を、逞しい腕を、俺だけの物にしたい。
でも離さなきゃいけないんだよね?
それが分かってるから、翔真さんが俺の気持ちに応えてくれたことが嬉しくて、こんなにも幸せなのに、悲しくて、切なくて……
俺は翔真さんに見えないように、目尻に浮かんだ涙をそっと拭って、無理矢理笑顔を浮かべた。
でもベッドにそっと下ろされた途端、なんだか急に恥ずかしさが込み上げてきて……
「明かり消そうか」
多分翔さんも緊張してたんだろうね、凄く強ばった顔で言うから、俺は首を横に振った。
「消さなくて良いの?」
『うん』
明かり消したら、翔真さんの顔見えなくなっちゃうでしょ?
「良かった、俺も同じだから」
えっ?
「智樹の姿をこの目に焼き付けておきたいから」
凄く嬉しかった。
俺も翔真さんと同じこと考えてたから……
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