砂上の楼閣

誠奈

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「そろそろ俺も限界……」

 低く呟いた翔真の指が引き抜かれ、代わりに熱い塊が僕の後ろに宛がわれた。

 慣れた行為なのに、何故か急に怖くなった僕は、翔真に手を伸ばした。
 すると翔真は伸ばした僕の手を取ると、しっかり握って、それからそっと唇を重ねると、ゆっくり腰を進めた。

「……ふっ、んん……っ」

 翔真の唾液を充分に纏った僕の後ろは、なんの苦痛もなく塊を飲み込んだ。

「大丈夫? 痛い?」

 僕の目から自然に零れる涙を唇で吸い取る。

「ん、大丈……夫だから、きて?」

 僕が言うと、僕の手を握った手に力が込められ、一旦は引きかけた腰を、奥を目がけて一気に突き上げた。

「……うっ、くっ……」

 一瞬感じた苦痛に、思わず顔が歪むけど、そんなのお構い無しに翔真は腰を送り続けた。

「……っ、は……っ、あぁ……ん、ん、はぁ……んくっ……」

 揺れながら僕の口からは、ひっきりなしに喘ぎが零れ、

「…智……樹、………………だ、……………てる」

 翔真が荒い呼吸を繰り返しながら、小さく呟く。

 でも引いては押し寄せる快感の波に身を委ねる僕には、翔真がなんて言ってるのか分からなくて……

 ただただ、突き上げられる度に、僕は力なく足を揺らした。

「イキたい?」

 翔真の手が離れ、僕の中心を握り込んむ。
 爆発寸前まで張り詰めたそこに触れられた途端、僕の身体がビクビク震え出す。

「あぁ……ん、イク……、イキ……そ……」

 翔真が、うん、と頷いて腰を送る速度を上げた。

 そして……

「はっ、あぁ、あ、あ、あ、……んんっ……!」

 僕は翔真の手の中に熱を放ち、それとほほ同じタイミングで、僕の中に感じた翔真の温度。

 ドクドクと鼓動するように吐き出されるそれは、初めて与えられる恋人の証明で……

 僕はそれを感じながら、遠くなる意識に身を任せた。




「智樹、愛してる……」


 なんて言ったの?


「もう一回言って?」

 僕の唇にそっと触れた翔真の唇。

「何度だって言ってやるよ、これからは……」





 砂の城は脆く、そしてとても儚い。

 打ち寄せる波には勝てずに、いとも簡単に崩れてしまう。


 でもさ、



 崩れたら何度でも作り直せばいいよ。
 何度だって作ればいい。

 そしたら、いつか出来るかもしれない、



 永遠に崩れることなく、何物にも負けない、


 僕達だけの砂の城が……


 だから、ここから始めようよ、ぼくたちの関係を……
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