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第8章  009

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 地下駐車場に停めたレンタカーに乗り込んだ二人は、特に会話をすることもなく、真っ先に清掃員用のツナギを脱ぎ、着替えを済ませた。
 そして、たった一本残っていたタバコに火を付けると、それを交互に吸いあった。

 ワゴン車の中は、あっという間に煙で満たされた。

 それから漸く、「とりあえず帰るか……」翔真がシリンダーを回し、アクセルを踏み込んだ。

 車は薄暗い地下から出て、地上へと出ると、どこに立ち寄るでもなく、真っ直ぐレンタカー会社へと向かった。

 料金は前もって依頼人でもある岸本が支払っていたこともあって二人の懐が痛むことなく済み、二人はツナギと、智樹の変装用にと準備したメイド服一式を詰め込んだボストンバッグを手に、漸く帰路についた。

 その間も二人は特に会話をすることもなく……

 智樹の自宅近くの公園に着いた頃には、二人共ヘトヘトに疲れ切っていた。

「じゃあ……ね」
「おぅ……、またな……つか、俺ら本当に大丈夫なんだよな?」
「何が?」
「だから……、俺らが捕まることはないんだよな?」
「ああ、なんだそのこと? それなら黒瀬さんが力になってくれるって言ってたし、大丈夫なんじゃない?」

 どこまでも楽天的な翔真の言葉に深い溜息を落としつつも、心身共に疲れ切っていた智樹は、翔真の言葉を信じることにした。
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