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第8章  009

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「弘行が雅也さんに何を話したかは、正直わかんないけどさ、ただ雅也さんも馬鹿じゃないから、見ず知らずの相手の言うことなんて、そう簡単に信用するわけないって思ってたんだけどな…………。まさか殺しちゃうとはね? 流石にそこまでは予想してなかったわ…………」
「優作、お前…………」

 相原の顔から見る見る色が失せ、とうとうその場に崩れ落ちてしまった相原は、握った拳を毛足の長いカーペットに叩き付けた。

「では、岸本さん自身は、弘行さんが殺されたことは知らなかったと?」
「うん。弘行が乗り込んだことは、事前に弘行からメール貰ってたから知ってたけど、雅也さんが殺したってことまでは知らなかった。だから、コイツらにここに運ばれて、弘行の死体見っけた時は、マジで心臓止まんじゃねーかってくらい驚いてさ…………」
「では岸本さん自身は、ここに連れて来られて初めて、弘行さんの死を知ったわけですね?」
「うん、そういうこと。だから俺は、弘行殺しには無関係なのよ」
「お前…………っ!」

 あくまで自分は無実、無関係だと訴える岸本に、とうとう相原の怒りが爆発する。

「お、俺はだな、お前のためを思って……」

 相原は岸本の胸倉を掴むと、今にも殴り掛かる勢いで拳を振り上げた…が、振り上げただけで、その拳が振り下ろされることはとうとうなかった。
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