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第8章  009

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「まずこのカードキーの入手先ですが、先程もお話した通り、ここまで精巧に作られたコピーを作成することは、余程セキュリティの知識がある方なら別ですが、素人にはほぼ不可能です」
「専門の業者にしか作れねぇってことだろ?」


 (アンタみたいに……)


 喉まで出かけた言葉を、智樹は咄嗟に飲み込んだ。

「そうです、その通りです。でも彼にはそれが出来た。それはつまりどういうことか分かりますよね?」
「え、ひょっとして……?」

 驚きの声を上げた翔真に、本木は小さく頷いて見せると、足音を立てることなく岸本の前まで歩み寄り、まるでマジックでもするかのように、二枚のカードを指で広げた。

「先月お会いしましたよね?」
「え……?」

 言われて岸本は記憶を巡らせた。

 そして数秒考え込んだ後、思い出したように顔を上げると、両手を叩いた。

「あ、もしかしてウチの会社の貯蔵庫……」

 そう……、本木は岸本の顔に見覚えがあった。

 つい1ヶ月程前、岸本が勤める会社の貯蔵庫が開かなくなり、中に人が閉じ込められる事案が発生した。

 中に閉じ込められたのは他でもない、本木が懇意にしている弁護士沢田だったことから、現場に駆けつけた本木だったが、その時関係業者として解錠作業を行っていたのが、誰でもない岸本だった。
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