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第8章 009
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テーブルの上にズラリと並べられたスマホと、プリペイド式携帯電話……
その場にいる全員が、本意不本意関係なく差し出した物と思われたが、プリペイド式携帯電話は別として、人数に対してスマホが一台足りていないことに気付いた翔真が、小首を傾げながら岸本に視線を送った。
「あれ? 岸本さんのは?」
「あ、お、俺……ですか? 俺はだって……」
岸本が戸惑うのも無理はない。
何せ、岸本自身は誘拐された側であって誘拐した側ではないのだから。
ただ、その事実がスマホを出さない理由にはならないことを、岸本は全員から注がれる視線から感じ取った。
「俺は……スマホ持ってないから……」
そしてとんでもなく適当な言い訳を口にした。
当然、そんな見え透いた嘘が通用する筈もなく……
「え、でもさっき電話してたじゃん? ってことはさ、持ってるよね、スマホ」
翔真に突っ込まれ、躊躇いながらもスマホを差し出した。
「ほら、やっぱあんるんじゃん」
「は、はあ、まあ……」
何ともバツが悪そうな素振りを見せる岸本に、成瀬は軽く頭を下げると、弘行が持っていたプリペイド式携帯電話を手に通り、両手を使ってごく短い文章を打ち込んだ。
そして全ての操作を終えると、文章が入力されたメール画面を、全員の位置から見えるよう向けた。
その場にいる全員が、本意不本意関係なく差し出した物と思われたが、プリペイド式携帯電話は別として、人数に対してスマホが一台足りていないことに気付いた翔真が、小首を傾げながら岸本に視線を送った。
「あれ? 岸本さんのは?」
「あ、お、俺……ですか? 俺はだって……」
岸本が戸惑うのも無理はない。
何せ、岸本自身は誘拐された側であって誘拐した側ではないのだから。
ただ、その事実がスマホを出さない理由にはならないことを、岸本は全員から注がれる視線から感じ取った。
「俺は……スマホ持ってないから……」
そしてとんでもなく適当な言い訳を口にした。
当然、そんな見え透いた嘘が通用する筈もなく……
「え、でもさっき電話してたじゃん? ってことはさ、持ってるよね、スマホ」
翔真に突っ込まれ、躊躇いながらもスマホを差し出した。
「ほら、やっぱあんるんじゃん」
「は、はあ、まあ……」
何ともバツが悪そうな素振りを見せる岸本に、成瀬は軽く頭を下げると、弘行が持っていたプリペイド式携帯電話を手に通り、両手を使ってごく短い文章を打ち込んだ。
そして全ての操作を終えると、文章が入力されたメール画面を、全員の位置から見えるよう向けた。
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