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第8章 009
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「おい、どうした……」
電話を持つ手を震わせ青ざめる翔真の肩を智樹が軽く揺するが、翔真は呆然としたままで、智樹を振り向くことすらしない。
何が起きているのか、さっぱり把握出来ない智樹は、苛立ち気味に舌打ちをすると、
「貸せ……」
翔真の手から、プリペイド式携帯電話を乱暴に取り上げた。
「もしもし? あんた一体何者だ……」
普段の喋り口調よりも、若干威圧感を含ませ声も低くする。
すると、それまで憮然としていた相原が、ビクンと肩を震わせた。
それ程智樹の物言いは威圧的だった。
ところが、電話口から返ってきたのは、至って冷静な一言で……
「は、はあ……? ちょ、ちょっと待て、どういうことだ……」
翔真と同じように、手を震わせ、顔を引き攣らせた。
そして携帯電話をパタンと閉じると、ソファを蹴倒す勢いで立ち上がり、ズカズカと……足音を鳴らしてパーティションの前に仁王立ちになった。
すると、気配を感じたのか、パーティションの向こうから、同じくプリペイド式携帯電話を手にした黒瀬が、柔らかな笑みを浮かべた顔を出した。
「少々半信半疑ではあったんですが、〝まさか〟でしたね」
黒瀬の感情を見せない口調と、柔らかでありながら冷ややかな目に、思わず智樹は一歩後ずさった。
電話を持つ手を震わせ青ざめる翔真の肩を智樹が軽く揺するが、翔真は呆然としたままで、智樹を振り向くことすらしない。
何が起きているのか、さっぱり把握出来ない智樹は、苛立ち気味に舌打ちをすると、
「貸せ……」
翔真の手から、プリペイド式携帯電話を乱暴に取り上げた。
「もしもし? あんた一体何者だ……」
普段の喋り口調よりも、若干威圧感を含ませ声も低くする。
すると、それまで憮然としていた相原が、ビクンと肩を震わせた。
それ程智樹の物言いは威圧的だった。
ところが、電話口から返ってきたのは、至って冷静な一言で……
「は、はあ……? ちょ、ちょっと待て、どういうことだ……」
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そして携帯電話をパタンと閉じると、ソファを蹴倒す勢いで立ち上がり、ズカズカと……足音を鳴らしてパーティションの前に仁王立ちになった。
すると、気配を感じたのか、パーティションの向こうから、同じくプリペイド式携帯電話を手にした黒瀬が、柔らかな笑みを浮かべた顔を出した。
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