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第7章 008
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唸る相原の様子に、黒瀬がフッと鼻を鳴らして笑う。
「安心して下さい。もし仮に相原社長が犯人だったとして、裁判では確実に無罪を勝ち取りますので」
そしてさも自信ありげに言い放った。
「あ、ねぇ、それってさ、別にこの件と関係なくても無罪に出来るの?」
「まあ……、事件性の有無や深刻度にもよりますが、過去には無差別殺人の無罪判決を捥ぎ取った経験もありますから、恐らく可能でしょう」
「じゃあさ、じゃあさ、もしもさ、俺や智樹が捕まったりとかしたらさ、お願いしちゃっても良い?」
とんでもないことを言い出す翔真に、慌てたのは他でもない智樹だ。智樹は勢い良く立ち上がると、翔真の腕を掴んだ。
「何考えてんだよ、お前は……」
「いや、だってさ、俺らだって誘拐したことバレたら、確実に捕まるわけだろ?」
「それは……そうだけど……。つか、そういうことじゃなくて……」
あっけらかんとする翔真に、智樹は呆れたとばかりに首を振ると、翔真の鼻先に人差し指を突きつけた。
「いいか、これ以上余計なこと言うなよ? もし言ったら……」
「言ったら……?」
翔真の喉がゴクリと鳴る。
「お前とは絶交だ」
「え、それは困る……」
「だったらお前は黙ってろ。いいな?」
ピシャリと言われて、翔真は両手で口を塞ぐと、ウンウンと何度も大きく頷いて見せた。
「安心して下さい。もし仮に相原社長が犯人だったとして、裁判では確実に無罪を勝ち取りますので」
そしてさも自信ありげに言い放った。
「あ、ねぇ、それってさ、別にこの件と関係なくても無罪に出来るの?」
「まあ……、事件性の有無や深刻度にもよりますが、過去には無差別殺人の無罪判決を捥ぎ取った経験もありますから、恐らく可能でしょう」
「じゃあさ、じゃあさ、もしもさ、俺や智樹が捕まったりとかしたらさ、お願いしちゃっても良い?」
とんでもないことを言い出す翔真に、慌てたのは他でもない智樹だ。智樹は勢い良く立ち上がると、翔真の腕を掴んだ。
「何考えてんだよ、お前は……」
「いや、だってさ、俺らだって誘拐したことバレたら、確実に捕まるわけだろ?」
「それは……そうだけど……。つか、そういうことじゃなくて……」
あっけらかんとする翔真に、智樹は呆れたとばかりに首を振ると、翔真の鼻先に人差し指を突きつけた。
「いいか、これ以上余計なこと言うなよ? もし言ったら……」
「言ったら……?」
翔真の喉がゴクリと鳴る。
「お前とは絶交だ」
「え、それは困る……」
「だったらお前は黙ってろ。いいな?」
ピシャリと言われて、翔真は両手で口を塞ぐと、ウンウンと何度も大きく頷いて見せた。
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