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第7章  008

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「まあ良いでしょう」

 翔真に話を聞いても無駄だと判断したのか、それとも翔真に対して何かしらの不信感を抱いたのか、本木は智樹に視線を移した。

 銀縁眼鏡の奥の冷ややかにも見える本木に視線を向けられ、智樹は一瞬ピクリと身体を震わせると、それから逃れるように顔を背け、唇を尖らせた。

 ところが本木はそれに構うことなく、智樹の視線の向く方へと身体ごと移動すると、その目の前にカードキーを差し出した。
 勿論元々翔真達が持っていた偽造されたカードだ。

「彼にもお聞きしましたが……」
「な、何だよ……」
「お二人が部屋に入られた時は、このカードを使って入られたんですよね?」
「そ、それがどうしたよ……」

 声色も、その口から発する言葉の抑揚すら変えない本木の問いかけに、智樹はぶっきらぼうに答える。
 その声が微かに震えているように聞こえるのは、やはり動揺の色を隠せないからなのだろう。

「このカードは偽造された物です。なのに何故ドアロックが解除出来たんでしょう?」
「んなこと知っかよ……。そもそも、同じサイズのカードなら、スイッチも作動すんだろ?」


 だったら……


 言いかけたところで、本木がカードを手にしたままスッと立ち上がり、高級ソファに胡座をかいて座る智樹を見下ろした。
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