RoomNunmber「000」

誠奈

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第7章  008

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 全員に一通り話を聞いた黒瀬は、手帳に書かれた走り書きに視線を落とした。

 不気味なくらい、重く暗い空気が部屋に漂う。
 弁護士でもある黒瀬以外の、その部屋にいる全員が、明らかに疑心暗鬼な状態になっていたのだから、それも仕方のないことだろう。

 ただ一人、岸本優作を除いては……

 岸本は、誰もが口を真一文字に結び沈黙する中で、時折小指で鼻を掘っては、うたた寝を繰り返していた。
 恐らく、その態度が相原の感に触れたのだろう、相原はスッと立ち上がると岸本の前に立ち、

「君、岸本君と言ったか……。起きなさい」

 特に諌めるでもなく、穏やかな口調で言った。

 ところがそれも回数を重ねるごとに荒くなり……

「お、お、起きんか!」

 とうとう怒りを爆発させた相原は、それでも尚呑気にイビキをかく岸本のヨレヨレなスーツの襟を掴んだ。
 それには流石に放って置けなくなったのか、それとも別の意図があったのか、

「社長、ちょっと静かにして貰えませんか」

 それまで黙って様子を伺っていた本木が、鼻息を荒くする相原を諌めた。
 そして相原が元の場所に戻ったところで、静かに瞼を閉じると、ピンと立てた中指で、自身の額をトントンと突き始めた。

 その姿を、黒瀬と岸本を除く全員が、訝しむでもなくジッと見守った。
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