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第6章  007

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「なるほど。では、そのことを証明出来る人は……と言いたいところですが、廊下には防犯カメラも設置してあるようですし、後で確認すれば済むでしょう」

 それ以上の追求を免れたことに、翔真も智樹もホッと胸を撫で下ろす。

 ただそれも束の間、黒瀬が聞きたいのはそれだけじゃない。

 すっかり安心しきっている翔真に、身体ごと視線を向けた黒瀬。

「では次に、この部屋に入った時の状況をお聞きしましょう」

 コホンと小さく咳払いをすると、次の質問を切り出した。

 二人は同時にゴクリと息を飲むと、視線を合わせ、コクリと頷いた。

「お二人がこの部屋に入った時、何か……そうですね違和感と言うか……、いつもと違う点はありませんでしたか?」

 言われて翔真は一瞬考え込むような素振りをするが、すぐに首を横に振った。

「気付かなかった……ということですか?」
「ま、まあ……、そういうことになる……かな……」

 当然だ。
 そもそも二人がこの部屋に入ったのは今日が初めてのことで、違和感は勿論のこと、以前との相違点を問われたところで、答えようがない。

 それは智樹も同じことで、二人は注がれる視線から隠れるように、汗をたっぷりかいた手をグッと握りしめた。

 少しでも動揺を気取られないよう、必死だった。
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