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第6章  007

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 相原はフンと鼻を鳴らすと、組んでいた足を踏み入れ解きガバッと広げ、今度は腕を組んだ。
 一見横柄な態度にも見えなくはないが、黒瀬は相原に向かって小さく頭を下げ、「ありがとうございます」と言った。

「俺がこの部屋に来たのは、最上階のラウンジでランチを済ませてからだから、大体14時頃……だったと思う」
「ランチはお一人で?」

「いや、典ちゃんと一緒だ」
「典ちゃん……、ですか?」
「典ちゃんは俺の部下で秘書だ」
「なるほど……。では、そのことを証明出来る方は?」

 世界にも名を轟かせる相原を前に、黒瀬は全く臆することなく、冷静に質問を繰り返した。

「ラウンジのホールスタッフと、後は防犯カメラをチェックして貰えれば分かる」

 余程疑いの目を向けられたくないのか、相原もとても従順に質問に答えて行く。

「分かりました。防犯カメラについては、後々確認することにして、その前……つまり、ランチの前はどこに?」
「それは……、オフィスにいたに決まってるじゃないか」
「証明出来る方は?」
「企画開発部の全員が証人だ」

 相原は「どうだ」と言わんばかりに胸を張り、ふんぞり返った。

「ありがとうございます。では、次は……」

 黒瀬の目が、部屋の片隅で片膝を抱える智樹に向けられた。
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