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第6章 007
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「お、お、俺か?」
黒瀬に微笑みを向けられた相原は自分自身を指で差し、キョロキョロと忙しなく周りを見回した。
まさか部屋の主である自分が、いくら捜査の協力のためとはいえ、アリバイを問われるとは思っていなかった相原の顔には、明らかな困惑の色が浮かんでいる。
「お、俺は……、その……なんと言うか、アレだ……」
「アレとは?」
「だ、だから! 〝アレ〟と言ったらアレ……だろうが!」
「困りましたね、〝アレ〟ではちょっと……」
しどろもどろになりながら意味の分からない事を繰り返す相原に、黒瀬は微笑みを絶やすことなく、至って冷静に返す。
「相原さん、それから皆さんも。私は皆さんを疑っているわけではありません。皆さんのアリバイを伺っているのは、もしあのご遺体が他殺体として扱われた場合、当然ですが、皆さんは警察の聴取を受けることになります。最悪の場合、容疑者として扱われることにもなりかねません。人間というのは、なかなかどうして弱い生き物です。警察の厳しい聴取に耐えきれず、虚偽の証言をしてしまうことも、可能性としてはゼロではありません。そうならないためにも、事前にお聞きしているんです」
数々の裁判を経験して来た黒瀬の言葉は尤もで、その場にいた者全員が、互いの顔を見合わせ、ゴクリと息を飲んだ。
黒瀬に微笑みを向けられた相原は自分自身を指で差し、キョロキョロと忙しなく周りを見回した。
まさか部屋の主である自分が、いくら捜査の協力のためとはいえ、アリバイを問われるとは思っていなかった相原の顔には、明らかな困惑の色が浮かんでいる。
「お、俺は……、その……なんと言うか、アレだ……」
「アレとは?」
「だ、だから! 〝アレ〟と言ったらアレ……だろうが!」
「困りましたね、〝アレ〟ではちょっと……」
しどろもどろになりながら意味の分からない事を繰り返す相原に、黒瀬は微笑みを絶やすことなく、至って冷静に返す。
「相原さん、それから皆さんも。私は皆さんを疑っているわけではありません。皆さんのアリバイを伺っているのは、もしあのご遺体が他殺体として扱われた場合、当然ですが、皆さんは警察の聴取を受けることになります。最悪の場合、容疑者として扱われることにもなりかねません。人間というのは、なかなかどうして弱い生き物です。警察の厳しい聴取に耐えきれず、虚偽の証言をしてしまうことも、可能性としてはゼロではありません。そうならないためにも、事前にお聞きしているんです」
数々の裁判を経験して来た黒瀬の言葉は尤もで、その場にいた者全員が、互いの顔を見合わせ、ゴクリと息を飲んだ。
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