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第5章 006
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二人の額に嫌な汗が浮かび、ワゴンの押手を握った手も、額と同様に汗で濡れている。
今ここで警察が介入することがあれば、間違いなく二人の立場は危うくなる。
岸本に対する拉致監禁に、相原ホテルズの清掃員を装った不法侵入、最悪弘行の殺人まで疑われかねない。そうなれば、報酬を得ることはおろか、二人は暫く塀の中……なんてことも考えられる。
それだけは勘弁だ!
智樹はブルンと頭を振ると、汗ばんだ手をドアノブに手をかけた。
よし、二人が岸本に気を取られている、その隙に……
本木が現れるまでは、ピクリとも動かなかったドアが、若干の抵抗を見せながら開きかけた、丁度その時……
「お待ちください」
またしても本木に呼び止められた。
「カードキー、お忘れじゃないですか?」
口元を僅かに動かしただけで、その他は一切動かさない……、言うなれば〝無〟に近い表情の本木が、キースイッチに刺さったままのカードキーを指さした。
「あ、ああ……、本当……だ……」
翔真はすぐさまキースイッチからカードキーを引き抜くと、それを胸のポケットに突っ込んだ。そして息をフーッと吐き出し、智樹に向かってコクリと小さく頷いた。
「行くぞ」
「おお……」
二人はやたらと強く打ち付ける心臓の鼓動を誤魔化すように、素早い動きでドアを開け放ち、部屋の外へ出ようとした……が、それは結局叶うことはなかった。
今ここで警察が介入することがあれば、間違いなく二人の立場は危うくなる。
岸本に対する拉致監禁に、相原ホテルズの清掃員を装った不法侵入、最悪弘行の殺人まで疑われかねない。そうなれば、報酬を得ることはおろか、二人は暫く塀の中……なんてことも考えられる。
それだけは勘弁だ!
智樹はブルンと頭を振ると、汗ばんだ手をドアノブに手をかけた。
よし、二人が岸本に気を取られている、その隙に……
本木が現れるまでは、ピクリとも動かなかったドアが、若干の抵抗を見せながら開きかけた、丁度その時……
「お待ちください」
またしても本木に呼び止められた。
「カードキー、お忘れじゃないですか?」
口元を僅かに動かしただけで、その他は一切動かさない……、言うなれば〝無〟に近い表情の本木が、キースイッチに刺さったままのカードキーを指さした。
「あ、ああ……、本当……だ……」
翔真はすぐさまキースイッチからカードキーを引き抜くと、それを胸のポケットに突っ込んだ。そして息をフーッと吐き出し、智樹に向かってコクリと小さく頷いた。
「行くぞ」
「おお……」
二人はやたらと強く打ち付ける心臓の鼓動を誤魔化すように、素早い動きでドアを開け放ち、部屋の外へ出ようとした……が、それは結局叶うことはなかった。
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