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第4章 005
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味覚音痴の相原に救われたことでホッとした岸本は、簡易キッチンからカウンターチェアを引き寄せ、腰を下ろした。
そして立ちっぱなしの翔真と智樹にも、三人がけのソファに座るよう促したが、相原は清掃員風情が自慢の高級ソファに腰を下ろすことに、あからさまな嫌悪感を示した。
当然だ、二人が腰を下ろしたソファ……いや、ソファだけじゃない、その部屋にある全ては、社長である相原が海外にわざわざ買い付けに出かけ、自身の目で選んだ物で、安月給の翔真と智樹には、とても手の届かない高級な物ばかりだ。
そこに、いくら清掃員のフリをしているだけとは言え、二人が座ることを面白く思わないのは、当然のことなのかもしれない。
「あの……ですね、俺思ったんですけど……」
ピリピリとした空気をものともせず、岸本が口を開く。
「スペアキーとかって無いんですか? もしあれば、それで外から開けて貰えば、外に出られるんでは……」
「確かに……」
岸本の提案に大きく頷いた翔真だったが、依頼人からのメールに、〝相原ホテルではカードキーのスペアは用意していないらしい〟と書いてあったのを思い出し、チッと一つ舌打ちをして膝を叩いた。
そして相原も、
「残念だが、それは無理だな。他の部屋はともかくとして、この部屋のカードキーは、部屋の主である俺しか持っていないのだから……」
ふんぞり返った胸で腕を組み、フンと鼻を鳴らした。
そして立ちっぱなしの翔真と智樹にも、三人がけのソファに座るよう促したが、相原は清掃員風情が自慢の高級ソファに腰を下ろすことに、あからさまな嫌悪感を示した。
当然だ、二人が腰を下ろしたソファ……いや、ソファだけじゃない、その部屋にある全ては、社長である相原が海外にわざわざ買い付けに出かけ、自身の目で選んだ物で、安月給の翔真と智樹には、とても手の届かない高級な物ばかりだ。
そこに、いくら清掃員のフリをしているだけとは言え、二人が座ることを面白く思わないのは、当然のことなのかもしれない。
「あの……ですね、俺思ったんですけど……」
ピリピリとした空気をものともせず、岸本が口を開く。
「スペアキーとかって無いんですか? もしあれば、それで外から開けて貰えば、外に出られるんでは……」
「確かに……」
岸本の提案に大きく頷いた翔真だったが、依頼人からのメールに、〝相原ホテルではカードキーのスペアは用意していないらしい〟と書いてあったのを思い出し、チッと一つ舌打ちをして膝を叩いた。
そして相原も、
「残念だが、それは無理だな。他の部屋はともかくとして、この部屋のカードキーは、部屋の主である俺しか持っていないのだから……」
ふんぞり返った胸で腕を組み、フンと鼻を鳴らした。
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