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第4章 005
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翔真も智樹も呆然とする中、ゆっくりとした動きで腰を上げた岸本が、すっかり腰を抜かしてしまったスーツ姿の男に、「大丈夫ですか?」と声をかけ手を差し出した……が、その手を男がとることはなく……
行き場を失くした岸本の手は一瞬宙を彷徨った後、ふっくらとした自身の頬をポリっと掻くこととなった。
「あ、あの……、俺、泥棒じゃないから。それに泥棒って言うなら、俺よりもこの……ムグッグッ……」
岸本が何を言おうとしているのか瞬時に察した翔真は、スーツ姿の男に向けていた足を岸本に向けると、後ろから岸本の口を手で塞いだ。
岸本は突然のことに手足をジタバタとさせたが、構わずギュウギュウと岸本の口元を押さえ付け、残る片方の手で智樹に向かって∨サインを作って見せた。
それを見て、今度は智樹がスーツ姿の男に手を差し出した。
「あの……、相原社長……っすよね? 大丈夫……すか?」
「あ、ああ、済まない……」
スーツ姿の男……相原は、智樹の手を借りて立ち上がると、スーツの襟を正し、乱れて額にかかった髪を手のひらで撫で付けた。
そして智樹を振り返ると、派手な咳払いを一つしてから、ピッと伸ばした人差し指を智樹に向けた。
その指先は、やっぱり黒いままだった。
行き場を失くした岸本の手は一瞬宙を彷徨った後、ふっくらとした自身の頬をポリっと掻くこととなった。
「あ、あの……、俺、泥棒じゃないから。それに泥棒って言うなら、俺よりもこの……ムグッグッ……」
岸本が何を言おうとしているのか瞬時に察した翔真は、スーツ姿の男に向けていた足を岸本に向けると、後ろから岸本の口を手で塞いだ。
岸本は突然のことに手足をジタバタとさせたが、構わずギュウギュウと岸本の口元を押さえ付け、残る片方の手で智樹に向かって∨サインを作って見せた。
それを見て、今度は智樹がスーツ姿の男に手を差し出した。
「あの……、相原社長……っすよね? 大丈夫……すか?」
「あ、ああ、済まない……」
スーツ姿の男……相原は、智樹の手を借りて立ち上がると、スーツの襟を正し、乱れて額にかかった髪を手のひらで撫で付けた。
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その指先は、やっぱり黒いままだった。
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