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第4章 005
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まずい!
このままだと、岸本の存在は勿論のこと、謎の死体まで見つかってしまう。
瞬時にそう思った智樹は、咄嗟に掃除道具をワゴンに突っ込むと、素早い動きでスーツ姿の男の前に立ちはだかった。
……が、
「何をしている。そこをどきたまえ」
見た目よりも力の強い男の手に肩を掴まれ、呆気なくパーティションの向こう側へと押しやられてしまった。
「ん? 誰だ、俺のベッドで寝ているのは……。不届きな奴め、起きたまえ」
スーツ姿の男が弘行の身体を揺らすが、当然死体である弘行が目を覚ますことはない。
「こら、起きないか!」
スーツ姿が男は苛立ったように声を上げる。
その声に、ちんまりと身体を丸め、物の影に隠れていた岸本の身体がビクンと跳ね上がり、サイドテーブルの上に置かれた電気スタンドが、ガタンと音を立てて倒れた。
当然、スーツ姿の男の視線は岸本に向けられ……
「き、き、き、貴様……、さては泥棒だな?」
その場にいた智樹は、男が岸本に掴みかかることを想像した。
それは 離れた場所からことの成り行きを見ていた翔真も同じで、ワゴンから手を離すと、咄嗟に両手に拳を作り構えた。
ところが……だ、男は岸本に掴みかかるどころか、どんどん後ずさり……、背中が壁に着いたところで盛大な尻もちを着いた。
このままだと、岸本の存在は勿論のこと、謎の死体まで見つかってしまう。
瞬時にそう思った智樹は、咄嗟に掃除道具をワゴンに突っ込むと、素早い動きでスーツ姿の男の前に立ちはだかった。
……が、
「何をしている。そこをどきたまえ」
見た目よりも力の強い男の手に肩を掴まれ、呆気なくパーティションの向こう側へと押しやられてしまった。
「ん? 誰だ、俺のベッドで寝ているのは……。不届きな奴め、起きたまえ」
スーツ姿の男が弘行の身体を揺らすが、当然死体である弘行が目を覚ますことはない。
「こら、起きないか!」
スーツ姿が男は苛立ったように声を上げる。
その声に、ちんまりと身体を丸め、物の影に隠れていた岸本の身体がビクンと跳ね上がり、サイドテーブルの上に置かれた電気スタンドが、ガタンと音を立てて倒れた。
当然、スーツ姿の男の視線は岸本に向けられ……
「き、き、き、貴様……、さては泥棒だな?」
その場にいた智樹は、男が岸本に掴みかかることを想像した。
それは 離れた場所からことの成り行きを見ていた翔真も同じで、ワゴンから手を離すと、咄嗟に両手に拳を作り構えた。
ところが……だ、男は岸本に掴みかかるどころか、どんどん後ずさり……、背中が壁に着いたところで盛大な尻もちを着いた。
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