19 / 143
第2章 002
8
しおりを挟む
「で、中は何だったの?」
智樹が落ち着きを取り戻した頃、翔真はずっと智樹の膝の上に抱えられたボストンバッグ中身について尋ねた。
ところが、智樹はボストンバッグの存在すら忘れていたのか、ハッと思い出したように顔を上げ、「見てねぇ……」と唇を尖らせた。
「はあ? 何だよそれ(笑)」
「しょうがねぇだろ、それどころじゃなかったんだから……」
指定されたコインロッカーの付近には、女子高生やらOLやらがうじゃうじゃいて、智樹は人目を避けるのに必死だったのだから、当然ボストンバッグの中身を確認する余裕など微塵もなかった。
そんな智樹の心情を知ってか知らないでか、翔真は更に追い討ちをかけるように、智樹を脅しにかかる。
「もし中身が爆弾とかだったらどうする?」
「は、はあ? んなわけ……」
ないとも言えずに、智樹はボストンバッグと翔真の顔を交互に見た。
明らかに狼狽えている様子の智樹を横目で見ながら、翔真はハンドルを操作しながら小さく肩を揺らす。
「な、何がおかしいんだよ……」
「ごめんごめん……、くくく」
翔真が堪え切れず吹き出すのも無理はない、ボストンバッグの中に何が入っていたのか、翔真は最初から知っていたんだから。
勿論、中身が爆弾でないことも……
「くく、冗談だよ。爆弾なんて入ってないから、開けてみなよ」
カーナビ画面に表示される時計を見て、時間に余裕があるとこを確認した翔真は、通り過ぎる間際になって、道路沿いのコンビニの駐車場に向けて急ハンドルをきった。
智樹が落ち着きを取り戻した頃、翔真はずっと智樹の膝の上に抱えられたボストンバッグ中身について尋ねた。
ところが、智樹はボストンバッグの存在すら忘れていたのか、ハッと思い出したように顔を上げ、「見てねぇ……」と唇を尖らせた。
「はあ? 何だよそれ(笑)」
「しょうがねぇだろ、それどころじゃなかったんだから……」
指定されたコインロッカーの付近には、女子高生やらOLやらがうじゃうじゃいて、智樹は人目を避けるのに必死だったのだから、当然ボストンバッグの中身を確認する余裕など微塵もなかった。
そんな智樹の心情を知ってか知らないでか、翔真は更に追い討ちをかけるように、智樹を脅しにかかる。
「もし中身が爆弾とかだったらどうする?」
「は、はあ? んなわけ……」
ないとも言えずに、智樹はボストンバッグと翔真の顔を交互に見た。
明らかに狼狽えている様子の智樹を横目で見ながら、翔真はハンドルを操作しながら小さく肩を揺らす。
「な、何がおかしいんだよ……」
「ごめんごめん……、くくく」
翔真が堪え切れず吹き出すのも無理はない、ボストンバッグの中に何が入っていたのか、翔真は最初から知っていたんだから。
勿論、中身が爆弾でないことも……
「くく、冗談だよ。爆弾なんて入ってないから、開けてみなよ」
カーナビ画面に表示される時計を見て、時間に余裕があるとこを確認した翔真は、通り過ぎる間際になって、道路沿いのコンビニの駐車場に向けて急ハンドルをきった。
0
お気に入りに追加
4
あなたにおすすめの小説
白い男1人、人間4人、ギタリスト5人
正君
ミステリー
20人くらいの男と女と人間が出てきます
女性向けってのに設定してるけど偏見無く読んでくれたら嬉しく思う。
小説家になろう、カクヨム、ギャレリアでも投稿しています。
マクデブルクの半球
ナコイトオル
ミステリー
ある夜、電話がかかってきた。ただそれだけの、はずだった。
高校時代、自分と折り合いの付かなかった優等生からの唐突な電話。それが全てのはじまりだった。
電話をかけたのとほぼ同時刻、何者かに突き落とされ意識不明となった青年コウと、そんな彼と昔折り合いを付けることが出来なかった、容疑者となった女、ユキ。どうしてこうなったのかを調べていく内に、コウを突き落とした容疑者はどんどんと増えてきてしまう───
「犯人を探そう。出来れば、彼が目を覚ますまでに」
自他共に認める在宅ストーカーを相棒に、誰かのために進む、犯人探し。
機織姫
ワルシャワ
ホラー
栃木県日光市にある鬼怒沼にある伝説にこんな話がありました。そこで、とある美しい姫が現れてカタンコトンと音を鳴らす。声をかけるとその姫は一変し沼の中へ誘うという恐ろしい話。一人の少年もまた誘われそうになり、どうにか命からがら助かったというが。その話はもはや忘れ去られてしまうほど時を超えた現代で起きた怖いお話。はじまりはじまり
ダブルネーム
しまおか
ミステリー
有名人となった藤子の弟が謎の死を遂げ、真相を探る内に事態が急変する!
四十五歳でうつ病により会社を退職した藤子は、五十歳で純文学の新人賞を獲得し白井真琴の筆名で芥山賞まで受賞し、人生が一気に変わる。容姿や珍しい経歴もあり、世間から注目を浴びテレビ出演した際、渡部亮と名乗る男の死についてコメント。それが後に別名義を使っていた弟の雄太と知らされ、騒動に巻き込まれる。さらに本人名義の土地建物を含めた多額の遺産は全て藤子にとの遺書も発見され、いくつもの謎を残して死んだ彼の過去を探り始めた。相続を巡り兄夫婦との確執が産まれる中、かつて雄太の同僚だったと名乗る同性愛者の女性が現れ、警察は事故と処理したが殺されたのではと言い出す。さらに刑事を紹介され裏で捜査すると告げられる。そうして真相を解明しようと動き出した藤子を待っていたのは、予想をはるかに超える事態だった。登場人物のそれぞれにおける人生や、藤子自身の過去を振り返りながら謎を解き明かす、どんでん返しありのミステリー&サスペンス&ヒューマンドラマ。
恥ずかしいので観ないで下さい。
恐山にゃる
ミステリー
15秒で読める140文字以内のショートショート作品です。(夫には内緒で書いています。)
恥ずかしいので観ないで下さい。
生きる事は恥を晒す事。
作品には仕掛けを施してある物もございます。
でももし火遊び感覚で観てしまったのなら・・・感想を下さい。
それはそれで喜びます。
いや凄く嬉しい。小躍りして喜びます。
どちらかの作品が貴方の目に留まったなら幸いです。恐山にゃる。
さよならクッキー、もういない
二ノ宮明季
ミステリー
刑事の青年、阿部が出会った事件。そこには必ず鳥の姿があった。
人間のパーツが一つずつ見つかる事件の真相は――。
1話ずつの文字数は少な目。全14話ですが、総文字数は短編程度となります。
未亡人クローディアが夫を亡くした理由
臣桜
キャラ文芸
老齢の辺境伯、バフェット伯が亡くなった。
しかしその若き未亡人クローディアは、夫が亡くなったばかりだというのに、喪服とは色ばかりの艶やかな姿をして、毎晩舞踏会でダンスに興じる。
うら若き未亡人はなぜ老齢の辺境伯に嫁いだのか。なぜ彼女は夫が亡くなったばかりだというのに、楽しげに振る舞っているのか。
クローディアには、夫が亡くなった理由を知らなければならない理由があった――。
※ 表紙はニジジャーニーで生成しました
広くて狭いQの上で
白川ちさと
ミステリー
ーーあなたに私の学園の全てを遺贈します。
私立慈従学園 坂東和泉
若狭透は大家族の長男で、毎日のように家事に追われている。
そんな中、向井巧という強面の青年が訪れて来た。彼は坂東理事長の遺言を透に届けに来たのだ。手紙には学園長と縁もゆかりもない透に学園を相続させると書かれていた――。
四人の学生が理事長の遺した謎を解いていく、謎解き青春ミステリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる