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第1章 001
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「かもしんねぇけど……。つか、金額の問題じゃねぇだろ……」
そんな簡単な計算が出来ない智樹じゃないから、自分の手元に幾ら舞い込んで来るのかくらいは、翔真に言われるまでもなく理解は出来るが、それだけに失敗した時のリスクを考えると、やはり二つ返事で受け入れられる程簡単なことではない。
「やるならお前一人でやれよ。悪いが俺はその話には乗れねぇ」
智樹はキッパリと言い放つと、火をつけたばかりの煙草を地面に落とし、ブーツの踵で踏みつけ、「じゃあな」とだけ言ってその場を立ち去ろうとした。
ジーちゃんバーちゃんの相手なんて面倒くせぇし、演歌が歌いたいわけでもないけど、とりあえずステージには立たせて貰えるし、そのおかげで自主制作したCDだって、極たまにだけど買って貰えて……、それをこんな馬鹿げたことでふいにするわけにはいかねぇ……
翔真には悪いが、これ以上関わらない方が自分のためだ、と自分に言い聞かせていた時だった。
「俺さぁ、知ってんだよね」
狙ってなのかどうなのか、翔真の蹴った小石が智樹のブーツの踵に当たり、智樹は足を止めた。
「知ってるって何をだよ……」
いかにも面倒臭そうに溜息を混じえながら、智樹は翔真を振り返った。
瞬間、翔真はシメタとばかりに唇の端を不適に持ち上げ、不敵な笑みを浮かべた。
そんな簡単な計算が出来ない智樹じゃないから、自分の手元に幾ら舞い込んで来るのかくらいは、翔真に言われるまでもなく理解は出来るが、それだけに失敗した時のリスクを考えると、やはり二つ返事で受け入れられる程簡単なことではない。
「やるならお前一人でやれよ。悪いが俺はその話には乗れねぇ」
智樹はキッパリと言い放つと、火をつけたばかりの煙草を地面に落とし、ブーツの踵で踏みつけ、「じゃあな」とだけ言ってその場を立ち去ろうとした。
ジーちゃんバーちゃんの相手なんて面倒くせぇし、演歌が歌いたいわけでもないけど、とりあえずステージには立たせて貰えるし、そのおかげで自主制作したCDだって、極たまにだけど買って貰えて……、それをこんな馬鹿げたことでふいにするわけにはいかねぇ……
翔真には悪いが、これ以上関わらない方が自分のためだ、と自分に言い聞かせていた時だった。
「俺さぁ、知ってんだよね」
狙ってなのかどうなのか、翔真の蹴った小石が智樹のブーツの踵に当たり、智樹は足を止めた。
「知ってるって何をだよ……」
いかにも面倒臭そうに溜息を混じえながら、智樹は翔真を振り返った。
瞬間、翔真はシメタとばかりに唇の端を不適に持ち上げ、不敵な笑みを浮かべた。
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