H･I･M･E ーactressー

第33章 ｓｃｅｎｅ６：君だけのＨＩＭＥにして？

２

  って思ったけど、前言撤回♪


  だってさ、翔くんが優しいんだもん♡

  あ、勿論いつも優しいんだけどね？

  でもいつも以上に優しいってゆーか……、とにかく優しくて…… 

  「どう、起きれる？」って聞かれて、僕が首を横に振ると、そーっと抱き起こしてくれたり……

  「持てる？」って差し出しされたグラスにも、僕が首を横に振ったら、ちゃんと口元までグラスを運んでくれて、口元が濡れたら指で拭ってくれて……

  「どう？  少しはスッキリした？」

  なんて聞いてくれてさ……

  きっと、翔真くんからしたら大したことじゃなくて、普通のことなんだと思う。

  でも、その普通の優しさが、僕はとっても嬉しい。

  だって普通ってさ、簡単そうに見えて、案外難しいんだもん。

  「あの……さ、それ……」

  翔真くんがベッドの端っこに腰を下ろしながら、僕の左手を指差す。

  「指輪のこと…？」
  「うん。智樹は玩具でも良いって言ってくれたけどさ、俺的にはやっぱりちゃんとした物贈りたい……っつーかさ……」
  「うん……」
  「でも今はまだ学生の身だし、バイトも辞めちゃって、就職すら決まってないし、それから……」

  それから……、何？

  「相原さんや潤一兄ぃみたいに大人じゃないし、まだガキだし、超ヘタレなとこあって、全然男らしくないし、だから……さ……」
  「ううん、翔真くんは全然ガキなんかじゃないいよ？  それに男らしくないなんて……、そんなことないよ？」

  僕が言うと、翔真くんは「でも」って言いかけて僕から顔を背けてしまった。

  だから僕翔真くんの顔を両手で挟むと、無理矢理僕の方を向かせて、強引にキスをした。

  「智……樹？」
  「あのね、僕はね、別に男らしくなくたって良いし、ヘタレだって全然気にしないよ？」

  今のままの翔真くんが好きなの。

  「でもね、もしも……ね、何年か経って、それでもまだ僕達が今みたいな関係でいられたら、その時は……ダイヤモンドとかお強請りしても良い？」

  ま、実際僕は宝石とかには興味ないんだけどね？