H・I・M・E ーactressー

誠奈

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第32章  scene6:僕はHIME…

19

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 仕切り直しの一歩目で躓きながらも、どうにかこうにかバージンロードを歩ききった僕達は、お互いの顔を見合わせて笑った。

 だってさ、ほんの数メートルの距離なのにさ、ビックリするくらいの時間かかっちゃったし、なんだかとっても疲れちゃったんだもん。

 だから「やった~♪」ってよりは、「ホッとした…」ってのが大きかったのかな、自然と笑えて来ちゃったんだ。


 でも……、これからどうすれば?


 普通の結婚式なら、神父様やら牧師様やらがいて、永遠の愛を誓い合って、それから指輪の交換して、それからそれから……キスしたりしてさ、胸キュンプラス感動の儀式が続く筈なんだけど、見渡す限り神父様の姿も、牧師様の姿もない。

 まあでもこれは本番ではないし、予行練習みたいなもんだもんね?

 本当はもうちょっと花嫁さん気分味わいたかったけど、これ以上を望んだらバチが当たる。


 ほんの一瞬でも、僕は凄く幸せだったんだし♡


 僕は暫くの間翔真くんと見つめ合ってから、長井さんやら斗子さんと並んで座るKAZUを振り返った。

 そしたらさ、KAZUは……相変わらずな感じだったんだけど、隣りに座っていた相原さんが、ビックリするくらい号泣してて……
 更にその隣に目を向けると、サングラスはかけたままだけど、松下さんが相原さんに負けないくらいの大号泣をしてて……

 相原さんが涙腺弱いってのは和人から聞いて知ってたけど、まさか松下さんまでとは思わなくて、驚きのあまり僕の腰が抜けそうになった。

 「ったく、潤一兄ぃときたら、いっつもああなんだから……。イメージも何もあったもんじゃないよね」

 確かに。

 松下さんのファンが見たら、きっと今の僕みたいに驚くだろうね?

 だって僕が知ってる松下さんは、人前では絶対涙なんて見せないタイプだと思ってたから。


 まあ、僕の勝手な想像なんだけとね?
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