H・I・M・E ーactressー

誠奈

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第32章  scene6:僕はHIME…

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 自分で決めたことだし、あれから随分経ってるから、もうすっかり済んだこと思っていたのに、似たようなシチュエーションの場に立った途端、怖くなっちゃうなんて……
 手だって、ブーケを落としてしまいそうに震えてるし……

 今までこんなこと、一度もなかったのに……

 え、これってトラウマってこと?


 僕が泣きそうになっていると、翔真くんが僕の手をそっと握ってくれて、バージンロードはまだまだ続くのに、僕のことを抱きしめてくれた。

 「大丈夫、俺がついてるから安心して?」
 「翔……真くん?」
 「智樹が想像してるようなことは絶対に無いし、もし……もしもだよ、あったとしても、その時は俺が全力で守るから……」
 「本当……に?」

 翔真くんが僕を守ってくれるの?
 僕よりビビリだし、僕よりも運動神経弱そうなのに?

 「うん、俺が守る。なんたって俺、智樹の彼氏だからさ♪」

 そう言って翔真くんは自分の胸を、拳でトンと叩いた。


 ふふ、そうだよね、翔真くんは僕の彼氏だもんね?
 いざとなったら、きっと翔真くんが僕を守ってくれるよね?


 「だから怖くないよ?」
 「うん」


 翔真くんとなら、僕……、もう何も怖くないよ。

 それに斗子さんが造ってくれた花冠には、僕達が永遠に幸せでいられるように、って願いも込められてるんだもん。

 こんなことで怖がってたら、せっかくの幸せも逃げて行ってしまうもん。

 僕は翔真くんの胸に埋めていた顔をパッと上げると、得意のHIMEスマイルではなく、智樹として出来る最高の笑顔を向けた。

 そして、いつの間にか解けてしまった腕をもう一度組み直すと、今度は僕の方から「せーの」と合図を送った。

 そしてらさ、翔真くんたらさ……

 「え、ちょ、ちょっと待って? どっちの足だったっけ?」

 なんて言いながら、左足を出すんだもん。

 僕、思わず翔真くんの足を踏んづけてしまいそうになったじゃん。


 ってゆーか、「右足からね」って言ったのは、他でもない翔真くんなんだからね?
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