H･I･M･E ーactressー

第32章 ｓｃｅｎｅ６：僕はＨＩＭＥ…

３

　結局僕の質問には答えてくれないまま、車はコンビニの駐車場へと滑り込み、後部座席のドアが自動で開いた。

　「五分で済ませろよ？」

　え～、そんなぁ……、って言いたいところだけど、僕の場合五分もあれば十分……ってゆーか、長過ぎるくらいだよ。

　だって僕が買う物って言ったらほぼ毎回同じだから、何を買うかなんて迷うこともない。

　僕は車から飛び降りるようにして出ると、財布だけを手にコンビニに飛び込んだ。

　目的の物を手に会計を済ませて車に戻ると、二人はカーナビを操作しながら、何やらコソコソと会話をしていて……

　「お待たせしました」

　僕が言うと、慌てたようにカーナビを元の画面に戻した。


　うーん……、何か怪しい……


　けど、僕はもうお仕事をしているわけではないし、別のお仕事のお話だったらいけないから、気にはなるけど黙って最近お気に入りのブリトーを頬張った。


　ふふ、おいちぃ♡





　そうして僕のお腹が満たされた頃、僕達を乗せた車は斗子さんのサロンの駐車場へと着いた。

　長井さんが前もって連絡をしておいてくれたのか、斗子さんは玄関の前まで出て僕を出迎えてくれて、僕は思わず斗子さんの胸に飛び込んだ。

　長井さんはそんな僕を見て、「チッ」と舌打ちをして、斗子さんから僕を引き剥がそうとしたけど、だって仕方ないじゃん？

　電話では何度かお話したけど、実際会うのは久しぶりだったんだもん♪

　それに、斗子さんは僕のママでもあるんだから、ママに抱きついたって不思議はないでしょ？


　ってゆーか、長井さんでもヤキモチ焼いたりするんだね？
　何だか意外かも。


　「あ、ねぇ、ドレス届いてる？」
　「届いてるわよ。ちゃんとサイズもＨＩＭＥちゃん……じゃなかった、智樹くん用に直しておいたから」
　「ふふ、ありがと♡」
　「でも……、ちょっと太った？」

　え……？

　まさか……、バレちゃった？