H･I･M･E ーactressー

第31章 日常16：僕の彼氏を紹介します

25

  なのにさ、僕のそんな思いも粉々に砕くように、

  「ごめん……、送っちゃったわ」

  なんてさ……シレッと言うもんだから、僕の顔は赤を通り越して青くなる。

  「送ったって……、いつどこで？  誰に何を……？」

  おかげで、まるで小学生の作文みたいな質問を投げかけてしまう僕。


  いや、聞かなくたって予想は出来てるよ？

  なんならさっき僕のスマホも、遠くの方ではあったけど、リュックの中でピコンて音がしたから。

  でもさでも・・だよ？

  僕は（良くないけど……）良いよ？
自分の裸なんて見慣れてるしさ、声だって当然聞き慣れてるから……

  ただ違うのは、そこに映ってるのが、ＨＩＭＥの姿をした僕じゃなくて、本当の僕……ってことだけなんだけどさ、それが僕的には大問題なんだよ。

  翔真くんのことだから、きっとそんなことはないって思ってるけど、比べられちゃったりしたらさ……、やっぱりＨＩＭＥの方が良いなんて思われちゃったらさ、僕悲しいもん。

「ね、ねぇ、それって取り消せないの？」
  「出来なくもないけど、もう手遅れかな。既読付いちゃってるし」

  え、嘘……
  じゃあ翔真くんも見ちゃった……ってこと？

  「そんなぁ……」

  ガックリと肩を落とし、ついでに項垂れる僕。

  「ねぇ、何がそんなに気になるわけ？」

  和人が缶に残っていたビールを一気に飲み干し、眉間に深ーい皺を寄せて僕を見る。


  ってゆーか……、怒って……る？


  「この動画を見たからって、桜木くんが智樹のこと嫌いになるとか、そんなこと思ってるわけ？」
  「そ、それは……、でもさ、翔真くんは元々ＨＩＭＥが好きだったわけだからさ……｣」

  どうしたって比べちゃうと思うんだ。

  翔真くんは僕がＨＩＭＥだから好きになったわけじゃないって、ちゃんと言ってくれたし、勿論その言葉に噓はないって信じてるけど……

でもさ……