H･I･M･E ーactressー

第31章 日常16：僕の彼氏を紹介します

11

　しっかり鑑賞モードになってるのか、相原さんは翔真くんのお尻を隠していたクッションを取り上げると、それを床にポンと置いて、そこにドカッと腰を下ろした。

　「えっと……、この状況は……一体？」

　どうやら状況が飲み込めてない様子の翔真くんの視線が、相原さんと僕の間を行ったり来たりする。

　そりゃそうだよね……、僕だってこの状況には戸惑いしか感じないんだもん。

　なのに相原さんときたら、想像しただけで前が窮屈になったのか、ハーフパンツの前をずらして、しっかり元気になった息子くんをポロンと出しちゃうし……

　当然、ＤＶＤでしか見た事のない相原さんの、超ロングサイズの実物を目の当たりにした翔真くんの目は、まるでトンカチで打ち付けたみたいに釘付けになってて……

　「しょ、翔……真くん？」

　放心する翔真くんの目の前で手をヒラヒラさせると、漸く我に返ったのか、急に慌てだして……

　「と、と、と、とりあえず服を……」

　前を隠していたシャツを頭から被った……ってゆーか、それ僕のだってば……

　「えー、しないの？」

　相原さんが残念そうな声を上げた、丁度その時……

　玄関のドアが開く音がして、それから「ただいま……」と和人の声が聞こえて、僕達は一斉に顔を見合わせた。


　だって和がこの状況を見たら……、絶対怒るじゃん？
　翔真くんはともかくとして、相原さんはさ……確実じゃん？


　「ね、は、早く仕舞って？」

　僕はベッドから飛び降りると、丸出しになった相原さんの息子くんをハーフパンツの中に押し込んだ。

　でもさ……

　「いててててて……」

　相原さんが情けない声を上げたその時、お部屋のドアがバーンと開いて……

　両手に買い物袋を下げた和人が、それはそれは恐ろしい顔で僕達を睨みつけた。

　そして氷よりも冷たーい声で、「説明してくれる？」と言うと、ゲームをする時に使うんだろうね、随分と使い込まれた座椅子に胡座をかき、両腕を組んだ。