H･I･M･E ーactressー

第31章 日常16：僕の彼氏を紹介します

９

　「本当…に？｣

　もぉ……、翔真くんたら疑り深いんだから……

　「本当に本当にだよ？　翔真くんがツルツルが良いって言ったから、和人に剃って貰おうと思っただけだもん」


　だから僕を信じて？


　「俺のため……ってことなんだよね？」


　うん、そうだよ？
　翔真くんに、ツルテカな僕を見せて上げるためなんだよ？


　「そっか……、なんかごめんね、変なこと言って……」
　「ううん、気にしてないよ」

　ってゆーか、前から思ってはいたことだけど、翔真くんて超が付く程嫉妬深いんだね？


　でもさ、それだけ僕のこと好きってことじゃん？
　だから変な疑いをかけられるのは……、正直嫌～な気持ちになったりするけど、たまになら悪くないかも♪


　ってことで……

　「分かったでしょ？　だから服着て？」

　こんなとこ、和人はともかくとして、相原さんなんかに見られたら、確実にオカズにされるもん。


　ってゆーか……


　「ねぇ、和人は？」
　「え、知らないけど？　智くんと一緒に部屋を出てから、姿も見てないし……」

　え、そんな筈は……
　だって剃り剃りセット用意してくるからって、出て行ったんだよ？


　だから僕、ずーっとこの格好のまま待ってたんだけど？


　「僕ちょっと見て来る」

　僕は翔真くんを押し退け、すっかり意気消沈してしまった息子に謝ってから身体を起こした……んだけど……

　「ね、ねぇ……、何か感じない？」
　「いや、俺は何も……」

　そう言って自分の下半身に目を向ける翔真くん。


　そうじゃなくて！


　「何てゆーか……、視線みたいな……」
　「そんな筈は無いでしょ」

　そうだよね、翔真くんは頭は良いけど、僕みたく繊細（本当だよ？）じゃないし、案外鈍感なとこあるから感じないかもだけど、僕は超感じるんだよね……

　ネット～りと絡んで来るような、うん……不気味な感じの視線を……

　僕は翔真くんを盾に、窓ってことはないだろうから、そーっと部屋の入口の方を覗き見た。


　え、えぇぇっ、何で？