H・I・M・E ーactressー

誠奈

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第30章  日常15:こんなの初めて♡

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  結局、バスルームでも1ラウンドを終え、今度こそ腰の立たなくなった僕は、念願の抱っこで寝室まで運ばれることになり……

  でもベッドはくちゃくちゃで、とても寝られる状態でもなかったから、二人して一枚のタオルケットにくるまり、ソファーに横になった。

  「眠たい?」

  しきりに瞼を擦る僕に、クスリと笑って翔真くんが言う。

  「……、しゅ……ごく……」

  しっかりお昼寝もしたけど、やっぱり激しい運動すると、自然と眠くなるもんだね?

  「あのさ、もし無理なら断ってくれて良いんだけどさ……」
  「ん……、なぁ……に?」
  「俺さ、もう一度見たくて……」


  見たい……って、何……を?

 
  「ほら、この間はマスクとゴーグル着けてたし、それにそんな余裕も無かったから、全然見れてなくってさ……」
  「う……ん……」

  だから…、何……を?

  「俺のために、もう一度だけHIMEになってくれない?」
  「えっ……?」


  今……、何て言ったの?


「あ、勿論嫌なら嫌で構わないんだ。だけどさ、ちゃんと見たくて…、そのなんつーか、智樹のウェディングドレス姿……っつーか…」
  「僕のウェディングドレス……姿?」

  もう二度と着ることなんてないって思ってたウェディングドレスを、もう一度?

  今度は翔くんのために?

  「べ、別に嫌なら……」
  「ううん、着るよ……」


  翔真くんだけのために……


  「本当……に?  HIMEになるの、嫌じゃないの?」
  「それは……、まあちょっと複雑だけどね?」


  でも僕は信じてるから……

  翔真くんは、例え僕がHIMEの姿をしていたとしても、僕をちゃんと見てくれるって、信じてるから。

  「ふふ、めいっぱい可愛くしちゃおうかな♪」
  「うん」
  「あ、でも色々準備も必要だから、少しだけ時間貰っても良い?」
  「勿論だよ」
  「ふふ、じゃあ約束ね?」

  僕は約束の印に、翔真くんのほっぺにキスを一つすると、それまでやっとの思いで繋ぎ止めて居た意識の糸を、プチンと断ち切った。
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