H・I・M・E ーactressー

誠奈

文字の大きさ
上 下
552 / 688
第30章  日常15:こんなの初めて♡

しおりを挟む
 すると、翔真くんは何も言わずに僕の額にキスをしてくれて、それからギューッてしてくれて、内蔵も全部潰れちゃうんじゃないかってくらいの力で、僕を抱きしめてくれた。

 だから僕も翔真くんに負けないくらいの力で、翔真くんを抱きしめ返した。

 「ねぇ、智樹?」
 「うん……」
 「もし……さ、智樹が嫌だって言うなら、無理にとは言わないけどさ……」
 「うん……」

 翔真くんが喋る度に、首筋に熱い息がかかって、擽ったいんだけど、凄くドキドキする。

 「俺、智樹のこと、抱きたい」
 「え……?」

 それは、僕自身予想してたことだったし、期待だってしてた。

 でもいざとなると、すぐに返事をするのを躊躇ってしまう。

 「あ、も、勿論、断ってくれても……」
 「ううん、そうじゃないの……、嫌じゃない。けど……」


 だって僕だって翔真くんとそーゆー関係になりたいって、ずっと願ってたから……


 「けど、何……?」
 「翔真くんが本当に抱きたいのは、僕だから・・・なのか、 それとも僕がHIMEだったから・・・・・なのか、どっち?」

 ずっと考えてたんだ。
 もし、翔真くんの答えが後者だったら……、その時は僕はこの気持ちに蓋をしなきゃ、って。

 だって僕は、HIMEとしての僕じゃなくて、僕自身を愛して欲しいから。

 「どっち?」

 なかなか答えない翔真くんに、特に急かすわけでもなく言うと、僕の背中に回った翔真くんの手に、キュッと力が入ったのが分かった。

 「智樹に告白した時にも言ったと思うけど、確かに最初は智樹がHIMEちゃんだから……って思ってた。でも今は違うよ?」


 ねぇ、それって……?


 「今は、智樹が好きだし、智樹じゃなきゃ嫌だ……っつーか、それじゃ答えになってない……かな?」


 ううん、そんなことない。
 翔真くんが一生懸命考えて、それで出した答えなんだもん、それだけで十分だよ。


 「ねぇ、僕からもお願いしても良い?」
 「何……を?」
 「抱いて……?」


 HIMEとしての僕じゃなくて、本当の……素顔の僕を抱いて欲しいの。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

寮生活のイジメ【社会人版】

ポコたん
BL
田舎から出てきた真面目な社会人が先輩社員に性的イジメされそのあと仕返しをする創作BL小説 【この小説は性行為・同性愛・SM・イジメ的要素が含まれます。理解のある方のみこの先にお進みください。】 全四話 毎週日曜日の正午に一話ずつ公開

アルバイトで実験台

夏向りん
BL
給料いいバイトあるよ、と教えてもらったバイト先は大人用玩具実験台だった! ローター、オナホ、フェラ、玩具責め、放置、等々の要素有り

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

アイドルグループの裏の顔 新人アイドルの洗礼

甲乙夫
恋愛
清純な新人アイドルが、先輩アイドルから、強引に性的な責めを受ける話です。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

壁乳

リリーブルー
BL
俺は後輩に「壁乳」に行こうと誘われた。 (作者の挿絵付きです。)

処理中です...