H・I・M・E ーactressー

誠奈

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第29章  日常14:はじめの一歩

15

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  「あん…… 」

  思わず声が漏れてしまって、僕は慌てて両手でお口を塞いだ。

  「くくく、脇が感じるとか、俺知らなかったけど?」
  「も、もぉ……、意地悪……」

  唇を尖らせた僕を、鏡越しに翔真くんが笑う。

  不思議だよね、さっきはボンヤリとしか見えなかった翔真くんのお顔が、今はハッキリと見える。

  「よし、流すよ?  ちゃんと目瞑っといてよ?」
  「うん」

  僕は言われた通りに、瞼をギューッと閉じ、両手でお顔を覆った。

  シャワーが頭からかけられ、全身に纏っていた泡が流れ落ちて行く。


  う~ん、さっぱり♪

  ……って、浮かれてる場合じゃない!

  もう人に見せることもなくなったから、僕自身でもすっかり忘れてたけど……

  僕のお股の毛……まだちゃんと生え揃ってない、ってゆーか……チクチクの状態じゃん!

  え、え、ちょっとヤバいって…… 


  僕はお顔を覆っていた手を、そーっとお股へと移動させると、こっそりお股を隠した。

  でも流石翔真くんだよね?
  絶対見逃さないんだもん。

  「どうしたの?  もしかして……元気になっちゃったとか?」
  「ち、ち、違う……もん!」

  僕は翔真くんがシャワーヘッドをフックに引っ掛けたのを確認してから、バスタブに飛び込んだ。

  だってこんなチクチクなお股、翔真くんには見られたくないもん。

  「は、早くしないと僕先出ちゃうからね!」
  「はいはい」

  本当はさ、僕だって翔真くんの背中洗って上げたかったけど、そうすると見えちゃうもんね?

  だから次の楽しみにとっておこう♪

  それにしても……、改めて間近でじっくり見てみると、翔真くんの身体って、すっごいマッチョってわけでもなく、程よく筋肉が付いてて、あの胸に抱かれることを想像したら、胸がドキドキしちゃう。

  下がり気味の肩は……ちょっぴり残念だけど、それも含めて翔真くんの身体って、本当に魅力的♡

  「なに、どうした?」
  「ふふ、翔くんて格好良いなぁって思ってさ」
  「ははは、今頃気付いたの?」

  まさかそんなわけないでしょ?


  ちゃんとずっと前から気付いてたもん♪
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